H’s ある株ホルダーのFP日記

株ホルダーとして考えた事、FPとして伝えたい事を不定期に書いていくつもりです。

外貨預金の評価(後編:悪貨は良貨を駆逐するか)

前回に続いて、長期的な外貨預金の分析をしていこう。

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【評価損益】

直近の評価損益はザックリ以下のようになっている。各通貨の円換算額はマチマチなので損益額の多寡だけで評価するのが難しい。なので比率で書いてみた。

今、時価評価した場合の損益が「評価損益」になる。ただ、この中には過去の利息の積み重ね部分と、日々の為替レートの変動による為替差損益部分があるので、その内訳を示したのが「利息面」と「為替面」だ。一例としてAUDを見ると、長期間の利息収支で+73%、為替換算損益で-17%になっている。

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これを見ると、個々の利息はチマチマしているけど、長期的にみていけばそれなりの嵩になっていくのが判る。特に、かつての高金利通貨AUD73%に達しているのだ。ただ、残念ながら、ここ10年ほど高金利通貨として誇れるのはZARくらいしかない。1%を上回っているのもRMBだけじゃないか。

平均取得レート(調整後)とcurrentレートの差で見ていくと、USD,AUD,GBP,HKD,ZARと殆どの通貨がマイナスになっている。これは酷い。

特にGBP建て預金はUSDとほぼ同時期に始めたけど、経済力の趨勢を反映している故か劣化が顕著だ。ZARは始めてから間もないので大して減価してないけど、同じスパンで比較したら同レベルかも知れない。

明らかにプラスだと誇れるのはGDPで世界第二位に成長したRMBくらいだ。

こうしてみると、国力と為替レートは長期的にみていくと連動しているのかも知れない。しかも適度に利息収益も上がっている。

【実現損益】

尚、既に売却した通貨はEURCHFTHB3つだ。経緯は下記するとして、この中で明らかに良貨なのはやっぱりCHF。ただ、それを実感したのはスイス旅行でとてつもない物価高(+いい暮らしぶり)に触れた後だったので、もはや手遅れだ。

EURDM(ドイツマルク)の時代に少しだけ買ってみた。最近になってDM紙幣にはガウス正規分布グラフが印刷されていたって聞いて、実物を見た事がなかった私は悔しい気持ちになった。だけど、欧州通貨統合後はあの無味乾燥な図柄のEUR紙幣に何の愛着も持てなくなったので止めた。どうしてもオモチャのお札に見えてしまうのだ。

CHFは手堅いけど金利がゼロで値動きも僅か。なので、8090JPY/CHF台で売却している。ただ、その後は現在まで105115JPY/CHFレベルに切り上がっているので、ハードカレンシーを売却した事はちょっと後悔した。

THB1998年頃のアジア通貨動乱時にあまりの高金利に惹かれて4.5JPY/THBくらいから買い始めた。で、損を重ねながら2.6 JPY/THBまで何度も買い足してみたものの、高金利はそんなに長く続かず為替レートはいつまで経っても自分がトランジットでタイを訪れた当時の5円台には戻らず、そこそこのレートで処分してしまった。

【初心者FPとして】

もし初めて外貨預金する方なら、日々のニュースで耳に入るUSDだろう。放置プレイか積極的に利鞘を取るかは個々人のスタンスだ。

ただ多少経験があるのならば、やっぱり長期的に為替差損が出て円ベースで毀損するのは避けたいのでRMBNZD、それにCHFが候補になるだろう。円がハードカレンシーだったここ最近の時代だと「悪貨は良貨を駆逐する」って格言は対円レートで見て正しかったと言えるだろう。

もしかして日本の人口は減り続けて行ってもスマホ経済が発展する事で効率化していけば、GDPとか統計数字に表れない部分では1020年スパンの生産性って相対的にはさしてdownしないのかも知れない。あくまで希望的観測だけど、かつて流行したBRICsなんて言葉も全ての国で勢いが続いている訳でなく、G20も時期尚早だっただろう。

中国の経済成長は現地に行って見るとその通りだけど、コロナウイルス騒ぎなんかが突発的に発生すると目先のトレンドは流動的になっていく。ましてや、誰も今後の各国の経済成長を正確に予想できる訳でもない。なので、最後に「外貨投資は自己責任」って言葉を添えて終わりにします。