H’s ある株ホルダーのFP日記

株ホルダーとして考えた事、FPとして伝えたい事を不定期に書いていくつもりです。

銘柄研究:アストラゼネカ

まだFPブログとして形が定まっていない。ちょっと路線がズレるかもしれないが、これから偶には個別株を紹介していこうと思う。自分で保有している銘柄もあれば、興味を持ってwatchしているだけの銘柄もある。今回はその第一弾。

新型コロナウイルスで世界的に停滞ムードが漂う。ワクチン完成が待ち望まれる。そんな中で先行しているグループが中国と英国でそれぞれあり。英国の先行グループはアストラゼネカ社が開発しているワクチンだ。

このところ同社の株価は上昇しているけど、決して直近で急騰しているって程でもない。先日、瞬間的に95ポンドを突破したけど、また90前後で動いている。まあ、ニュースで取り上げられる度に上値を追ってきたのは確か。直近5年とかのspanで比較しても、同業大手の英グラクソウエルカムより高いperformanceを上げている。

この会社の業績については購入時に調べたものの概ね順調と理解している。当時はFT(Financial Times)サイトで各社の過去5年分の業績推移を確認できたのでそれで是としていた。むしろ、薬品株は手堅いし、馴染みもあったのであまり迷う事もなかった。

かつて合併でアステラス製薬が誕生する前には、FK-506(免疫抑制剤)開発で夢があった藤沢薬品工業が上場していた。その藤沢薬品が業務提携していた北欧の製薬会社がアストラ社で、同社の有報にも「藤沢アストラ」の名が載っていた。また、英Zeneca社は英ICI社の製薬部門が独立した会社で、合併によりアストラゼネカ社(ticker=AZN)となっている。現在、世界の製薬大手10社にギリギリ入っているくらいの規模だ。

同社で有名な薬品は呼吸器疾患向けの他に麻酔薬がある。ドラマや小説にも出てきそうなキシロカインは同社の製品であり、10年くらい前だとアナペインも硬膜外麻酔で使用されていた。手術が外科医の腕次第なのはホントだけど、実際には麻酔薬あってこそその腕を振るえるのも事実。麻酔薬は歯科医や耳鼻科医の処置、内視鏡検査など侵襲を伴う検査でも、あまり患者に目立たない所で使用されている。そんな恩恵に浴している事もあって、買いを入れた。

同社が世間の耳目を集めたのは2つある。1つは、数年前に米の製薬最大手ファイザー社が買収提案した時だった。その時点でアストラゼネカ経営陣は買収提案を拒否している。だいたい米企業が節税目的で米国外に本社移転を意図して画策したものなので、その結果で良かったのではないか。もう1回は抗ガン剤イレッサの訴訟騒ぎの時だった。この件の詳細は把握していないが、(ハーセプチンとかグリペック、オプジーボなど直近5〜10年くらいの新薬を除くと個人的に)一般的に抗ガン剤に対する評価は低い。古い考えかも知れないが、ガン細胞が小さくなっても患者本人の寿命を縮めてしまっては意味がないと考えている。

あと、ワクチン開発に関して一言注意事項がある。製薬会社にとってワクチン開発は決してワリが良い仕事ではない筈。毎年constantに売上が見込める薬品ではないし、確か卵を使って培養するのにそれなりの忍耐と日数が必要だと読んだ事がある。しかも、SARSとかMERSなど過去の感染症に関してもそれに適したワクチンが未だ開発されていない中で、どうして世界製薬大手の中で同社が取り組んだのか。社会的使命に駆られてって事なら構わないけど、本当に同社が治験に先行してもそのまま新薬として承認されるのか未知数だ。勿論、欧州主要4~5ケ国が1億回分のワクチンを受取る約束をして、米日もそれに遅れまいとしている動きはpositiveだけど、期待先行がコケた時の想定も頭の片隅に入れておきたい。