CFP試験も近いので、自分の頭の整理も兼ねて、配当税制を書いておこう。
株式の配当税制はいくつかのpatternがある。
【所得税】
A:申告不要(源泉徴収で終了)
B:総合課税で確定申告する
C:分離課税で確定申告する
【住民税】
D:申告不要(源泉徴収で終了)
E:確定申告と同じ形で処理される
F:確定申告した金額はあくまで所得税用に留めて、住民税では所得を減らす(orゼロ申告)する
一番簡単なのはAとDで済ませるもの。これだと何の手続きも要らない。私がサラリーマンしていた時にもたいていこのpatternだった。Bだと配当控除で税金のうち10%相当(合算所得1000万以上だと5%にdown)が還付される。もし外国株から配当を受け取っていれば外国税額控除に該当するし、税額控除は大きい。株式の譲渡所得がマイナスになった年にはCを選択すると、配当所得と相殺されて配当に係る所得税が還付される仕組みがある。尚、サラリーマン時代は配当所得を加えたからと言って、社会保険料に影響しなかった。
ただ、会社を辞めると、その辺の事情が変わってくる。Bで確定申告すると、配当控除どころか基礎控除や社会保険料控除、医療費控除も配当所得から引けるので課税所得が大幅に減って、税額ゼロ、結果として所得税がほぼ満額還付されてくると実感する事ができた。ただ、住民税に関してそのまま放置しておくとEになり、住民税でも還付されるけど、後になって社会保険計算時の所得把握で配当所得を補足されてしまうので、社会保険料をドッと請求され兼ねない事になる。
それはは避けたいのでFの登場となる。Fは2016年か2017年くらいから明文化されて手続きができるようになったらしい。CFP試験の過去問にも載っていた。市区町村に申請用紙があるので、それを埋めて窓口に提出すると、確定申告用紙(所得税)には配当所得をしっかり明記して、それ自体は税務署も市区町村も把握しているのに、住民税とか社会保険(国民健康保険・国民年金)の計算上はそれを圧縮して
計算してくれる。最大の圧縮は所得ゼロだ。
何故こんなに柔軟な対応ができるのか、最初は理解できなかった。ただ、日経新聞(2018年4月)に載っていたのでウソではない。それ以前も所得税用と住民税用に選べる事ができる筈なのに融通が利かなかったので、手続きとして明文化したのが数年前だったらしい。市区町村の窓口で聞いてもその通りだった。ネットで東京の某区の書類を探すとこんな感じで載っていた。
<ネット情報より start>
所得税の確定申告とは別に都民税・区民税の申告をすることで、都民税・区民税について、所得税と異なる課税方式(総合課税、申告分離課税または源泉分離課税(申告不要))を選択できることが明確化されました。
https://www.city.sumida.lg.jp/online_service/sinsei/zeikin/shinkokusyo.files/r2jyoukabumihon.pdf
<ネット情報より end>
ここでは話を簡単にするため省略するけど、上場株式の譲渡所得(源泉徴収済のもの)に関しても同様に対処できる。
一見不公平に見えるけど、ロジックもある。一旦、源泉徴収しているのだからそれで終わりにしてもいいじゃないか、って論理のようだ。確かに、市区町村に対して源泉徴収された住民税は入金済。だったら、社会保険はサラリーマン(給与所得以外はノーチェック)と同様に鷹揚に対応するヨと解釈できる。
企業税務は知らないけど意外とsimpleな筈。でも、個人税制は所得が13くらいに細分化されており、しかも申告不要、総合課税、分離課税など選択optionがいろいろ用意されている事でかなり複雑。申告対象も一括ではなく、銘柄ごと支払いごとに選べる。ただ一度提出した届を変更出来ないのは厄介だ。
知っているのと知らないのとで税金や社会保険の金額に影響するのでちょっとsimulationしてみるとトクする事がある。
【11/4補記】不正確な記述を訂正。出来れば実例を挙げるのが良いが、それはCFP試験の過去問を参照願う。