H’s ある株ホルダーのFP日記

株ホルダーとして考えた事、FPとして伝えたい事を不定期に書いていくつもりです。

2020年12月に把握しておきたい税制動向

勉強会で習った事を頭の整理を兼ねて書いてみる。

  • 給与所得控除の圧縮

2020年より給与所得控除が10万円減額されている。しかも、上限となる給与収入が1000万円超から850万円超にdownした点は、年収の分布図を思い出してみる限りだと特定の大企業を除くと大して影響ないだろう。

  • 総合課税の人的控除を拡充

逆に、人的控除(基礎控除や扶養控除など)は10万円増額されている。まあこれは知っていたけど、単身者は前項の-10万円とこの+10万円でいってこいになるだけで、どんなメリットがあるのか判らなかった。本当はそういう背景とか考え方を有識者が語ってくれるとありがたいのだけど、そうもいかなかった。おそらく、人の扶養に重きを置いてきたって事だろう。単身者は影響なしだけど、扶養家族が多くなれば人数ごとに10万円ずつ所得控除が増えていく。未婚のひとり親控除の制度が創設されたのもその流れだろう。寡婦控除と寡夫控除のルールが簡素化されたのはいいと思う。

所得金額に応じて基礎控除を0~48万円に設定したのは、直近35年くらい遡っても記憶にない。これまでずっと一律だった筈。かつて、IT企業で給与計算システムを保守していた時にも一律38万円だったと記憶している。富裕層対策かも知れないけど、たかがこんな事で全企業の給与システムに改修の手間が増えるのはバカバカしいと思う。こういう施策も、IT業界の雇用維持を狙ったものなのか。

  • 2024年以降のNISA

新NISAが2階建ての仕組みになるのは判らない。Active投資よりもIndex(passive)投資がパフォーマンスで優れているとしても、つみたてNISAありきに変更する背景がはっきりしない。投資は自己責任だと言うならこんな細則は不要だと思う。それに、大量のETFと大量の日銀&GPIF買いが解消された時にindex採用銘柄のパフォーマンスが相対的に悪化した場合、税制で優遇してくれるとでも言うのだろうか。

ジュニアNISAは口座数が少ないらしいので、廃止でいいのではないか。

  • 新型コロナ対策としての給付金の扱い

定額給付金(あの10万円)は非課税。その他もろもろの給付金や手当金は、大まかに見て個人なら非課税、法人なら課税扱いだ。これは売上高の補填として考えるためだろう。

  • 今後の方向性

・住宅ローン残高を抱えている人がローン残高の1%を税額控除している制度につき、借入金利が1%未満なのは確かに見直しして構わないだろう。それにしても、いつまで超低金利が続くのか。

・DB、DCの受取方法について。現状は確定給付型年金(DB)は70%、確定拠出型(DC)は90%の人が一括受取をchoiceしているのだと知った。税制による損得がハッキリと判ると、年金受取を選択している人は僅かになってしまうって事だ。確かにEET(拠出と運用は非課税、給付は課税)って制度が年金に誘導したい国の思いとズレており、いずれ施策に沿った方向に税制が動いていくのかも知れない。

税金に関しては暗記と言うよりもどんな方向に動いているのか、その考え方を掴んでおくのがいいと思う。