H’s ある株ホルダーのFP日記

株ホルダーとして考えた事、FPとして伝えたい事を不定期に書いていくつもりです。

日経平均3万円時代が到来してもJOMOでいたい

先日「日経平均3万円時代の到来は感慨深い」のtitleでneutralに書いたものの、最近TVや新聞を読み返してみるとやはり論点として抜けがあったと思う。

なので、少し書き足してみたい。

 

(1)世界的な金融相場

やっぱり全世界が低金利に喘いでおり、カネ余り状態が続いて困っているって事。これは2020年に始まった事ではない。日本はもう20年くらい続いていて金利って言葉が死語になっているけど、世界でも数年前から超低金利状態に突入している。

利息を得られないから、マーケットに資金が流れ込んでいるのだろう。それが株であったり、債券、金、デジタル通貨であったり。しかも、コロナ禍で企業は活動状態が低迷したけど、個々人は自粛生活に入った事で時間を見つけた。人によっては、本を読んだり、Youtubeに投稿したりこれまでとは違う生活を始めている。その1つにネット証券投資があったのだろう。業績がevenだとしても、株の買い手が増えれば価格はおのずと上昇していく。マーケット価格の上昇にはそうした含意もあったと思う。

なので、金利や人々の生活がコロナ前に戻っていく事でそうした過剰なpremiumはいつか剝げ落ちていくだろう。

(2)日銀のETF買い入れ

忘れていたけど、日本株はこれに助けられている。前回の記事でここに触れなかったのは失態だった。

上場企業の主要株主に日銀が名前を連ねている事はやっぱり間違っているだろう。35兆円、上場企業の時価総額の7%を日銀が握っていると言うのだ。株価が低迷していた時期に窮余の策として暫定的に買い出動していたならともかく、日経平均3万円に達したのに漫然と買い続けているのは明らかに不味い。そんな事は優秀な日銀マンが判らない筈はないだろうから、これも最近ハヤリの忖度なのか。

この問題は、買いオペレーションをstopさせる事、これまでに買い続けた株を誰かに売却(or移管)する事の2つに分解できる。1点目は市場に対してimpactが大きい。でも、平均株価が高い今の方が相対的に傷は浅いだろう。なるべく早く正常化して欲しい。

2点目に関しては、某BS放送で「準備預金の代わりにメガバンクに移管してしまえばいい」って乱暴な意見も出ていた。日銀の買値でそのまま取得できるならともかく、それもあるまい。であれば、メガバンクが譲渡を受けるメリットは何もない。「個人に売ればいい」って誰かがsoundしているらしい。これもなんだか真意が判らない。

素人に思いつくのは2策くらいだ。

案1:香港市場にトラッカー・ファンドがあったと記憶している。その経緯を把握していないけど、新しいETFを組成するようなimageで捉えていた。市場の売り圧力になってしまうけど、自由意志で売買できるのであれば市場に戻す事も構わないかも。

案2:発行体に自己株式として買い取ってもらう。上場企業は総じて、資金余剰になっているので、買い取った上で自己株消却するとか、他社の買収時に自社株と交換する形で使う事もできるだろう。勿論、発行体が適正な資本であると考えるならば段階的に売り出していけばいい。

(3)GPIFポートフォリオ

これも正確な割合を把握していないけど、数年前に日本株への投資割合を増やしている。20%から25%だったような記憶がある。そこに株価対策としての意味が入っていたと思う。もし年金機構として20%が妥当だと考えるのであれば、どこかで5%相当の株式を売ってリバランスする選択肢もあると思う。これは日銀のETF購入と異なり、目立たないように徐々に売却して現金化する事も可能なのではないか。

(4)FOMOとJOMO

FOMOなる言葉を聞いた。Fear of missing out、取り残される怖れだ。元々はマーケットに関する用語ではない。マーケットに当てはめて使うと、(みんなで熱狂しているつもりだったのに)相場が傾いた時に一緒に熱狂していた周囲の友人は売却していたのに、自分だけが保有したまま損失を抱える怖れだ。

まあ、これは会社の価値ではなく、株価を買っている場合の過ちなので冷静に状況を見つめ直していくしかない。私はGAFAなどIT系の株に投資していないので昨年の急落急騰相場を経て年末にやや損失が残った。IT株に投資していれば大笑いできていたかも知れないけど、仕方ない。でも、常に勝ち続けるのは難しいし、負け惜しみも多少はあるけど昨年の損は已む無しと判断している。

偏った企業群にinvestするのは好かないし、なるべく企業の価値を見て多方面の業種に投資していきたいと思う。ETFとかindexに順当に投資した人は、それが右肩上がりの上昇時にはただそれに乗っかっていれば大丈夫だけど、下げ相場でも同じ態度しか取れなくなる。

だから、FOMOよりもJOMOでいたい。勿論、かつての日鉱共石(日本鉱業共同石油)ではない。Joy of missing out、個々の株価の動きから解き放たれて、投資先の半永続的な成長を願う事とでも表現すればいいだろうか。