H’s ある株ホルダーのFP日記

株ホルダーとして考えた事、FPとして伝えたい事を不定期に書いていくつもりです。

「AERA」のFIRE特集を読んでみた

3月下旬に「AERA」のFIRE特集を読んでみた。載っていたのは4名。

・桶井道さん
・エルさん
・アラサーdeリタイアのちーさん
・たぱぞうさん

たぱぞうさんの話は以前にセミナーで伺った事があるし、堅いなと思う。

でも、正直言って記事の内容は軽いと感じた。生活費が月8万円なら2400万円の貯金でFIREできるって紹介の仕方は「週刊ポスト」や「週刊SPA」なら構わないけど、朝日新聞系の「AERA」の扱いとしては雑すぎると思うのだ。年間コストの25倍の貯金があれば大丈夫って定義があるとしても、軽々すぎると感じた。

Simulationが荒っぽいのと同時に、記者が適当に取材してまとめた感が強い。ネットのまとめ記事ならともかく、アンケートを元に「AERA」の記者が表面つらをなぞったんじゃないか。これでも「AERA」の記事として成立するなら、他の分野でもその程度の事しか書いていないのかと疑ってしまうな。

もっと慎重に考える事は3点。

(1)どうしてFIREしたい若者が増えるのか、分析が足らない

やっぱりこの記事が興味本位で書かれているようにしか見えなかった。

(2)このまま米国株に集中して構わないのか

確かに過去10年のスパンで見ると米国株のパフォーマンスは良かった。次の10年も同じかも知れない。でも、市場商品はやっぱり循環物色されるものであり、いくら世界最大のGDPを誇る米国の株式であっても、そこに偏るのはどうなのか。誰か特定の個人が「米国だけ見ていれば世界株を全部watchしなくても大丈夫」と考えて米国押しで行くのは構わないけど、日経のような経済紙でもない媒体が米国株押しをするのが違和感があった。

まあ、自分が米国も世界の一部に過ぎないと考えている事もあるし、長期間市況が低迷すればETFとかindex投資を漫然と始めてしまった”にわか”初心者がとても耐えきれない期間を含み損で過ごす事も考慮すべきと思うのもあるからだ。

(3)今の経済状況の延長が50年続くと考えて大丈夫なのか

現在の経済状況がずっと続くと考えるのは危険だ。海外では21世紀になってからでもいくつかの国で経済破綻している。アルゼンチンとかブラジルとか、韓国やタイも20世紀末に大きなdamageを負った。ギリシヤの経済危機が叫ばれたのもユーロが運用された後だったので、21世紀になってからの事だ。

ずっと言われている日本の国としての借金もGDP比で200%を超えており、その水準に達した国はいずれなんらかの傷を負ってきたと言う。MMT(現代貨幣理論)は新聞記事とか何度読んでも理解できない。であれば、ハイパーインフレの可能性も捨て切れない。

スペイン風邪からほぼ100年後に新型コロナ禍が現実となった。1929年の世界大恐慌スペイン風邪の10年後くらいに発生した訳で、新型コロナの問題はまだ尾を引くだろうし、歴史を見る上では10年って小さな単位に過ぎない。人生にとって10年とか20年先のリスクはキチンと意識しておかなくてはいけないので、risk-facterを無視した、単なる掛け算が凄く雑に映ってしまったのだ。