H’s ある株ホルダーのFP日記

株ホルダーとして考えた事、FPとして伝えたい事を不定期に書いていくつもりです。

不動産売却時の譲渡所得を整理してみる

CFP試験が迫って来たけど、なかなか勉強が捗らない。頭の整理も兼ねて売却時の税金に関して整理してみたい。不動産って株とか証券投資と比べて自分事になる頻度があまりに低い。私自身でも経験ゼロなので、どうにも勉強に身が入らないのだ。

(0)原則

所得税の計算において殆どの所得は総合課税されるが、土地や建物の譲渡所得(=売却金額―購入金額―コスト)は分離課税される。税率は譲渡年の1/1現在でみて5年以内(短期)の売却なのか、5年超(長期)の売却なのかによって2択となる。バブル時代の土地ころがしなどを防止する意味だろうが、長期保有していれば15%、短期であれば30%となる。

もし相続したなど古くからの土地・建物で購入金額が判らない場合には、売却価格の5%をみなし取得価格とする事ができる。ただ、それって手にした金額の殆どが所得になってしまう訳で、税負担はあまりに大きい。

ここまで聞くと、この譲渡所得計算はあまりにも不利だと思える。ただ、住宅に限ってはいくつかの優遇制度が設けられている。以下ではそのいくつかを紹介していこう。

(1)居住用3000万円の特別控除

自宅として使っていた不動産であれば、所得、居住年数、所有年数に関係なく3000万円を控除できる。その条件とは……

・居宅であって他人に貸付けしていない事
・もし取り壊した場合でも、それから1年以内に売却契約を締結する事
・居住しなくなってから3年後の年末までに譲渡する事

尚、類似の制度として「空き家の譲渡特例」もある。条件も類似しており、

・相続後に居住や賃貸で使用していない事
・相続してから3年後の年末までに譲渡する事
・1981年以降に建てられている事、及び耐震性に支障ない事
・譲渡対価は1億円以下である事

(2)居住用財産の軽減税率の特例

上記の3000万円控除の後で、更に6000万円分は10%の軽減税率を適用できる事。その条件とは……

・1/1現在で10年超、所有している事

ここまで厚遇されていると、地方で自宅を売却した場合に、概ね課税対象額はゼロに落ち着くのではないか。

(3)特定居住用財産の買換え特例

大抵の場合、自宅を売却すればどこかに住み替える。そうなると、折角入った売却金額も右から左へ消えてしまい手元に残るカネは僅か、より良い物件に引っ越せば出超になってしまうだろう。そのため、買替する場合にも特例が設けられている。

譲渡金額<新居の購入金額: 全額繰延べok
譲渡金額>新居の購入金額: 一部繰延べok

課税すべき金額は将来に繰延べされる(=譲渡資産の取得額を引き継ぐ)が、取得時期を引き継ぐ事はできない。その条件とは……

・1/1現在で10年以上、居住している事
・1/1現在で10年超、所有している事
・床面積50㎡以上ある事
・譲渡対価は1億円以下である事
・売却した翌年末までに新居に住む事

この制度はかなり適用範囲が広く、買換資産が中古でも親戚が住むものでも構わないし、住民税にも適用される。

その代わり、この制度は選択適用になっており、「居住用3000万円の特別控除」や「居住用財産の軽減税率の特例」と重複適用する事はできないし、住宅ローン控除も受けられない。

(4)損益通算と繰越控除の特例

住宅を売却して常に利益が生じる訳ではない。古いマンションであれば価値が大きくdownしているケースもあるだろう。そうしたケースでは他の所得と損益通算でき、翌年以降も3年に亘って繰越控除できる。その条件は……

・1/1現在で5年超、所有している事
・上記住宅の売却で譲渡損が発生する事
・(繰越控除を受ける年には)合計所得金額3000万円以下である事

また、実際の適用パターンは以下の2通りある。

・10年以上の住宅ローンを使って床面積50㎡以上の住居を購入した場合

・次に買い替える訳ではないが、譲渡した住宅のローンが10年以上残っている場合

……

うーん、覚えきれないな。

【2021.6.10補足】

誤解の無いように補足します。

・ここで言う「住宅」とは「居住用財産」の事で、もし店舗併設であれば住居部分のみ、また住民票住所と現住所が異なる場合には後者を意味する。

・上記(2)と(3)で「所有10年」の縛りがある。もし10年以上前に親族が購入したものを最近になって自分が相続したものであれば、取得時期を引き継いで10年の要件はclearしたと考えて構わない。