H’s ある株ホルダーのFP日記

株ホルダーとして考えた事、FPとして伝えたい事を不定期に書いていくつもりです。

副島隆彦「目の前に迫り来る大暴落」

副島隆彦の本を読むには初めてだ。記憶に残ったkey-wordを挙げていくと以下の通り。

【政治】
新型コロナウイルスは米国の陰謀

【国内経済】
・日銀の国債買入がGDPと同額の570兆円に達した
預金封鎖とデノミ
ソフトバンクGの動向

【国際経済】
・W.バフェット氏のメッセージ
GAFAの行く末は公共財かも
・SPACの思惑

【金融マーケット】
・ドル暴落と金価格上昇を予想
・アルケゴス・ショックで野村証券がヤバイ
・割引現在価値で取引するのはリスキー

Youtube等を使って誰でも個人的な意見を制限なく言える時代だ。ドキドキ心配してしまう内容も多いけど、どこかで聞いたような話がない訳でもない。ただ、ここに書かれた全てを「ありえない」と言い切るのも危険だし、心に留めておかなくてはと思った。

このブログでそれら全てに対して触れるのは無理であり、いくつかに絞って書いていく。

(1)米国株の好調は永遠ではない

やはり「山高ければ谷深し」の格言は生きていると思う。GAFAとMSFTへ過剰に集中した投資が天井知らずって事はあり得ない。いずれ何らかの転機が来るだろう。1989年は日本の銀行株だったので米国の陰謀で潰したかも知れないけど、今回はあくまで自国のIT企業だ。ものづくり企業なのか考え方はあるだろうけど、もう世界中のスマホユーザに入り込み過ぎている。確かに電気や水道と同様に社会インフラと捉え直してしまうのはあるのかも知れない。でも、それで技術革新は止まってしまわないのか、そんな課題解決も含めた解が見えてこない。

また、バークシャー・ハサウェイ時価評価がTOP-10に入ってきた事は気になっていた。アップル株などを保有し始めた事で、バークシャー株そのものも疑似GAFAと見做されてしまったのか。だとすると、厄介だな。同社は投資会社であり事業会社でもあるので後者にもそれなりの蓄積が出てきたのかと思っていたけど違ったか……

(2)暴落する通貨はどちらか

円暴落説とドル暴落説がある。前者であれば、円の価値が下落するので外貨保有しておく事であらかじめそれなりのリスクは回避できると考えていた。

この本は後者の路線で書かれていた。ドル暴落はGAFA株の大暴落とセットになると米国株投資が悲惨な事になって、日本人はそう困らないような気もする。ただ、2024年のリデノミ説が現実になると、どっちつかずで円貨も外貨も傾いてしまう。著者は金投資と言っているように見えるけど、他にどんな策が考えるられるのだろうか?

(3)アルケゴスの何が問題なのか

正直ここは素人には理解できていない。同じテーブルに付いているのにいつも米国以外の投資銀行にツケが回されるのであれば、自衛手段を練らなくてはいけない。それは野村證券であってもメガバンクであっても努力して欲しい。報酬制度でなんとか対処できるものならすればいい。

ただ、割引現在価値の妥当性をキチンと見抜けるようにならないといけない。企業の現在価値を見抜く事だってできないのに、皮算用して数年後の将来価値を仮定(第三者の勝手な期待値)してそこから逆算した割引現在価値に一体どれだけの正確性が期待できるんだろうか。ちょうどCFP試験のためにDCF(割引キャッシュフロー)計算の過去問とか解いてみたけど、やっぱりテクニックに寄ってしまうきらいがある。

(4)日銀の国債買入が570兆円に達した

この数字を知らなかったのでショッキングだった。正確な開始時期を把握していないけど、もうこんな天文学的な数字に達してしまったのか。570兆円って数字は新型コロナ騒動の前に日本のGDPとして発表していた数字とほぼ同じものだ。

「いつかヤバイよね~」って事は、ある場面で居合わせた人と雑談した事がある。誰も知らない訳じゃないけど、でもコロナの「定額給付金」でも「持続化給付金」でもなぜか政治家はお金を増刷する方向に気前よく持って行ってくれるし感覚が麻痺してしまう。丸見えの爆弾を抱えたまま、政府や国会が笑っているようで怖い事だ。

ちょうど今日は76年目の終戦記念日。当時も戦時公債を発行したもののハイパーインフレで100分の1の価値に暴落した状態で償還したとか。人生80年とすれば、そろそろあの当時の悲劇を知っている人、苦渋を舐めた人が年を取って徐々に亡くなっていく。だんだんと悲惨な出来事のリアルが判らなくなってしまう頃なんだな。