H’s ある株ホルダーのFP日記

株ホルダーとして考えた事、FPとして伝えたい事を不定期に書いていくつもりです。

恒大集団ショックで世界の株式市場が揺さぶられるのか

秋は暴落のシーズン。ここ10日ほど中国の不動産会社・恒大集団で市場が揺れている。いつもなら全く知らない所から後頭部を突然殴られたかのように株式の大暴落が始まるけど、今回のはちょっと違う。暴落が始まった日より1週間くらい前から日経新聞で恒大集団の信用不安に関する記事が国際面などのトップで何度か載っていた。

ただ、恒大集団が業界2位と言っても、規模や特徴がどの程度の会社か判らない。日本企業で喩えると三井不動産のような超一流のデベロッパーなのか、かつて信用不安説が流れたマルコーや大京長谷工のように業種を細分化した中でみればややランクdownした中堅どころなのか、そんな事も判らないままボンヤリとやり過ごしていた。

<9/22頃の日経新聞より>

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で、ある日、香港株が急落しているのを見てビックリした。サンフンカイ地産(0016.HK)の株価が僅か1日で10%前後も急落していたのだ。片や中国本土で傾いた会社だが、サンフンカイ地産は香港を中心に手広く開発している不動産会社でIFCなど上海での物件も優良なものだと信じていたので、驚いた。

<SHKPの半年チャート(FTサイトより)>

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中国の不動産と言えば気になるのが、元々需要がないままに建設を繰り返していたんじゃないかって疑惑だ。以前、橘玲橘玲の中国私論」って本の写真を見た事がある。そこに中国の鬼城(ゴーストタウン)の写真がいくつも載っていた。それは私としても容易に肯首できる光景だったのだ。中国の新幹線に乗ってみると、将にそんな光景に遭遇する事がある。GDPを伸ばしていくには沢山の高層ビルを建設した方がいいに決まっている。新居に住む人が増えれば家電製品でも家具でも売上が伸びていく。でも、車窓から見える綺麗な高層ビルがいかにも寂しげで人が暮らしている気配を感じられなかったのを想起したのだ。

報道によればGPIFが恒大集団の株式や債券に96億円ほど投資していたとか。まあそれは分散投資の結果だからそれ以上の含意は何もない。

それよりも、はてこの急落が一過性のものなのか? 大きく傷口を広げていく突端になるのか、単なる相場の綾なのか定かではない。TVや新聞でしたり顔でコメントする専門家は所詮サラリーマンなので「一過性なので大丈夫」と言っておき、本当に大崩れした後になると後講釈を付けるように「長期的な下落シグナルが見えていました」と言ってみたりする。

なので、そうした言葉は聞き流すくらいに留めて、先ずは自分で考え続ける習慣を付けたい。株式市況が回復するケース、暴落に繋がるケース、どちらの可能性も考えられるのだから注意深くwatchしておくしかない。

ここではnegative要素に2つほど触れておく。

1つ目は資源株の動向だ。恒大集団の騒動が起きる前から、少しずつ世界の資源株(ex.BHP)が大きく下落していたのが気になっていた。個別銘柄の事象と言うよりも資源安に絡んだ値動きだろうと見ていた。石油株は昨年春に大きく叩かれた後でやや戻り歩調だったのだが、そこと逆行した値動きになっていた。景気悪化を見越して資源価格や資源株が弱含みで推移しているのならば冷静に対処する必要がありそうだ。

ちょうど本日10/1付け日経新聞の記事によると、BHPが産出している鉄鉱石がここ2ケ月ほどで大きく下落(7月の200ドル/トンから直近では120ドル/トン)しているのに対して、原料炭は上昇傾向が持続しているとか。その違いは、前者の鉄鉱石が日米豪印のクワッドに不快感を示した中国が豪州からの輸入を絞り込んでいるのに対して、後者は中国国内での生産が活発なためだとか。鉄鉱石の国際価格を左右できるのはそれだけ中国の価格統制力があると言う証左なのだろう。

もう1点は米国株を買おうと思って7~8月頃に個別株のPERをいくつかチェックしていた。ABBV、ATT、CME、ダナハー、MicroStrategy、サーモフフィッシャーなど、いずれもかなり割高な水準まで買われているのが分かった。もしかしてそろそろ天井なのか。BaxterやJNJなど旧来からの医薬品株はそんなに割高だと感じなかったので、手堅くそっちを候補にすべきだろうか。

上で6銘柄ほど挙げたが、MicroStrategy以外は最近になってwatchし始めた銘柄だ。因みにMicroStrategyはニッチなIT企業で、5年ほど前に最初に仕事でセミナーに出席させてもらう機会があった。セミナーそのものの評価をさておき、個別に質問させて頂くととても丁寧にlogicalな回答を頂戴出来て好感を持てたのを覚えている。その当時の株価は150.USD前後だった。ずっと忘れていたのだが、久々に株価をチェックすると600.USD、しかも今年初めには瞬間風速で1300.USDを突破して上昇していたのだから、やっぱり成長業種は侮れないな。

なので、本日のまとめとしてはこうなる。森の動きは俯瞰的に見ておく。それと同時に気になる木の動向も虫の目で見ておかないといけない。それと、変化の速い世の中の動向も魚の目で追っておかなくては、と思うのだ。なかなか手が回らないけどね。