H’s ある株ホルダーのFP日記

株ホルダーとして考えた事、FPとして伝えたい事を不定期に書いていくつもりです。

このウクライナ危機下において貴金属投資を考えてみる

ロシアのウクライナ侵攻もあって、このところ金価格は最高値圏を彷徨っている。なるべく中立に振り返ってみよう。

(1)概要

地政学リスクが高まっている。こうした時に注目されるのが金やプラチナ(白金)など貴金属。貴金属を買う場合にはいろいろな形がある。地金、アクセサリー、コイン投資、金鉱株、ゴールド系の投資信託ETFなど。いずれも購入時の単価が相当に嵩んでしまう。なので、高値掴みを避ける、長期的に値上がり益を狙う事を考えるのであれば、定額積立も有効なやり方だろう。田中貴金属など会社によって月3,000円程度からスタートする事ができる。

(2)メリット

インフレヘッジできる事に尽きる。米ドルであっても日本円でも長期的にペーパー・キャッシュは減価していく。ただ、金や白金の輝きは失われる事がない。あくまで重量に応じてその時の価格が相場によって決まる。

金の価格は国際的にロンドンで現物価格、NYで先物価格が決まっている。いずれもドル建てで1オンス(約31.1g)当たりの価格。日本での価格は円建てで1g単位で表記されている。

例えば、かつて1900ドル/ozで為替レート115JPY/USDであれば、円価格は

1,900ドル÷31.1×115×1.1=7,728円

となる。最後に10%増ししているのは消費税相当額である。

あくまで為替レートに影響されるため、ドル建てでwatchしておく方が、マーケットの素の値段推移を掴みやすいだろう。

(3)価格推移

先ずは金の30年チャートを見てみよう。

<金価格推移>

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※出典

https://goldprice.org/ja/gold-price.html

ネット検索したものだが、このチャートがロンドン現物なのかNY先物かハッキリしないが、現在のスプレッドが4ドル程度なので不正確な点に関してはご容赦。

かつて1980年代にロシアのアフガニスタン侵攻で6000円の記録的な高値の後で長期的な低落傾向にあった金。一時期は約250ドル/ozまで沈んだが、それは英国が国家保有の金売却に動いた時期とほぼ同じ頃だった。その反転のきっかけとなったのは2001年のNY同時爆破テロだった。リスクを嫌った資金が徐々に見直し買いを入れていったもので、2012年までの10年で記録的な上昇を果たしていった。

(4)価格特性

前述の通り、国内では消費税込みの価格で取引される。それは買付け時、売却時とも同様なので最終的に影響ない。ただ、この事が数年前にニュースになっていたように、海外から消費税抜きの金地金を持ち込んで国内で税込みで売却するような問題行為のモトになっている。

また、貴金属をずっと保有していても金利は付かない。貴金属そのものが重たくならないためだ。ただ、定額購入制度を使って購入した金やプラチナを購入業者に保管してもらう事で、年単位で若干のプラスが期待できる。会社によって「満期ボーナス」などと呼ばれているが、貴金属の預託制度を使ったリターンであって、金額換算したり、重量そのもので保有者の口座に還元されてくる。

(5)金とプラチナの違い

金もプラチナも宝飾品需要がある。それに加えて、プラチナには自動車産業などで触媒として工業需要がある。かつては、工業需要と希少性(プラチナの産出量は全世界でプール2杯分くらいしかないとか)によって、プラチナ価格は金価格よりも高く推移していた。ところが、触媒としてパラジウムが利用されるようになった事などから、近年では金とプラチナの価格反転が生じて久しい。

ただ、こうした解説は常に後講釈として生まれるものなので、今後この相場感がどう変わっていくのか見通す事は難しい。需要動向だけでなく、米ドルの強弱感、地政学リスク(産出国の違いあり)が価格に反映してくる事も考えられる。

<金・プラチナ比較(1981年~)>

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※出典

https://lets-gold.net/chart_gallery/long_term_chart.php

(6)スポット購入体験記

定額購入制度にはスポット購入サービスを使える場合がある。ここは会社によって月単位、日単位なサービス範囲が異なっている。この制度はいくつかの場合に利用できるので便利だ。例えば、

・資金の余裕がある時
・相場が下落した時
・金とプラチナのスプレッドが想定以上に乖離した時
・消費税率が上がる直前

実は私も消費税率が10%になる直前に少し買ってみた。消費税8%上乗せで買っておき、10%になった後で売却すれば2%分は値上がり益になる。ただ、貴金属が2種類あるとどちらに投下すべきものか判断に迷う。相対的に高い金に乗っかっていくべきなのか、それとも割安なプラチナを選ぶといいのか悩みどころ。因みにその当時(2019年)はやや慎重に考えて金とプラチナを2:8でスポット購入した。

もちろん、短期で売買する必要はないし、そんな機敏な売買は向いていない。今後も消費税が上がっていく事は容易に考えられるので長期的に結果を待ちたい。

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【註】引用した2つのリンクはチャートを検索したサイトであって、内容に関しては参考にしていない。

【註】銀やパラジウムに関しては不勉強で守備範囲の外にある。値動きに関しても全く把握していないし、太陽光発電に使われている事も本日初めて知った程度。それよりも原油ETFで懲りた事があるので、そちらに関しては改めて文章で振り返っていくつもりだ。