6月に円安に関するコメント記載をアップした。ただ、いざ読み返してみるとすでに外貨保有している人がどう行動すると良いのか書いたもので、これから外貨投資を始める観点では何も語っていなかった。なので、今回はその視点で書き足してみたい。
<東京外為> ※9/27付けDIAMOND online記事の写真
(1)1ドル140円の世界
まず、短期/長期2つのチャートで今の立ち位置を確認しておきたい。短期として1年を選んだ。短期と言えば1日後の事を想像する市場参加者も少なくないだろうし、この選択は話者によってかなり異なるだろう。
<短期チャート> ※SMBC信託銀行HPより
<長期チャート>
※出典は以下の通り
https://finance-gfp.com/?p=3008
実は長期チャートをネット検索したのだが、大手金融機関のサイトではなかなか相応しいものがなかった。1980年代の1ドル200円超から150円を切る急騰場面は絶対に外せない。そうなると30年チャートでは意味がなく、上記サイトのグラフを紹介させて頂くのがベストと考えた。
これを見ると1ドル140台まで円安に振れてきたのは直近30年で2回目。最近のTV報道でも「賃金安の日本」、「外人さんから見たらまだまだ物価安のニッポン」と言われている。こうしたワードから推すとまだまだこの円安トレンドが続くのかも知れない。国の公的債務が1000兆円を突破している事も不安を煽る根拠の1つになっている。GDPの2倍を超えても国家破産していないのは日本だけって声も、経済不安になると囁かれる言葉だ。
ただそれが現実になるのか、それとも行き過ぎた振り子はやっぱり元の位置に戻って行くのか、誰もその明確な見通しは持てない。だとすれば、為替相場を体感するために僅かな金額でも外貨保有に踏み出すのは意味があるのではないか。
(2)どのくらい外貨を持つべきか
大きく円安に振れている時期なので、打診買いで構わない。最初は100ドル(1.4万円)とか10万円で構わない。自分の円を外貨に替えてみる事で、為替相場の変動をリアルに感じられるようになる。
(3)どの通貨がいいのか
金融機関によって取り扱い通貨は異なる。先ずは以下の理由により米ドルが現実的。
・日々のニュースでも為替レートが出てくる
・情報量が多い
・他通貨と比べて相対的にTTS,TTBのスプレッドが狭い
・現在は金利上昇局面にある
(4)どこで買うべきか
銀行でも証券会社でも構わない。既に口座を持っている金融機関でいいだろう。あくまで現物であってFXに手を出さない事。
特徴を挙げておくとザックリ以下の通り。
リアルな銀行: スプレッドがやや大きい。TTSとTTBで2円前後は開いているので損益分岐点を考えると割高になる。海外旅行で貯めた外貨を使う事を考える方もいると思う。その点では旧CITIBANKが優位だったが、現在のSMBC信託銀行での扱いは把握できていない。
ネット銀行: スプレッドが小さい。
証券会社: 外貨MMFは外貨そのものではなく外貨建て債券を運用している事になるので銀行利息よりは高くなる。
(5)外貨保有したらヤル事
ヤル事は2つ。
1つには為替相場の値動きをニュース等で追ってみよう。どんな時に円高/円安に振れるのか、ニュース解説のロジックに整合性はあるか。これには限界があってあくまで反対の耳から抜けてしまう程度で構わない。同じ事象に対してもそのタイミングによって解釈は異なるし、どれも相場の後講釈に過ぎないのだ。
もう1つは相場変動がメンタルに響くかどうか、自分に問うてみる事。そもそも米ドルに両替した時点で為替手数料(TTS-TTB)で2円くらいは損益分岐点の下に位置している。半年、1年経過した所で大儲け(or大損)するかも知れない。儲けられれば嬉しい。損した時にはそれをやり過ごせるメンタルなのか、それともちょっとでも損したら耐えられない性格なのか掴んでみる事が大切だ。もし損が出る事で日常生活に支障が出るのであれば、早々に円に両替して外貨保有から撤退しよう。
(6)その後の展開
性格的に含み損が負担にならなければ少しずつ増やしてもいい。時間が経過する事で僅かであっても利息(or分配金)が追加されて損益分岐点は改善していく筈。あとはゆっくり為替レートを見ながら円高局面で追加投資していけばいいだけだ。円安局面で回収すれば良いのだが、おかしなものでこちらはなかなか決めきれないものだ。
もし英ポンド、豪ドルなど他の通貨が気になればそちらに広げても構わない。但し、一部の金融機関が勧めているブラジルレアル、トルコリラなどは慎重に検討する必要がある。いずれもインフレ傾向のある国だ。産金国ではあるものの、南アフリカランドも不安定要素を抱えた社会のため注意する必要がある。
※参考ブログ
・3ケ月前:円安について
・2021年4月:南アランド投資について
・2020年2月:為替に関する基本認識