H’s ある株ホルダーの日記

株ホルダーとして考えた事、FPとして伝えたい事を不定期に書いていくつもりです。

日本円の価値が1970年代に戻ったのか

6/13現在の為替レートは約135円/米ドルと大きく円安に振れてきた。

<6/13_NHKサイト>

f:id:hassan01:20220613164916p:image

 

ニュースでは円安で物価上昇を報じており、評論家の解説でもこれまでなかったような予想レートが出てきた。ある人は「150円もあり得る」、「長期的に150~200円」との声も上がっていた。

「日本円の価値が1970年代に逆戻りした」。こんな記事が新聞紙面に載ったのは今年2月、つい3ケ月前の事だった。リアルな為替レートでなく購買力平価ベースで大きく下落したのを見せつけられるのはいいものではない。因みに2月末の円ドルの為替レートは約116円/米ドルだった。それにしても僅か3ケ月での急落は振れ幅が大きい。

日経新聞サイトより(2)>


f:id:hassan01:20220613153541p:image
f:id:hassan01:20220613153534p:image

かつては海外旅行に出掛けて米ドル札で払おうとすると、相手方から遮られて「日本円を持っているなら円で払って」と言われたものだ。それは日本の国力が強かったから。あるいは米国がドル安政策を採っていたので敢えて円高誘導していた事に起因するのがホントのところなのかも知れない。

コロナ禍が明けて海外旅行に出ても、もう値下がりリスクのある日本円を受取ってくれる人は既に稀有な存在になっているのではないか。と言うか、円安と原油高で航空券も値上がりしているので、そもそも海外旅行する事のハードルが上がっているのが大きな懸念事項だ。

*

為替レートはそんなに大きくブレるものではない。年間の上下動は大きくても15%程度なのでもう振れ切っていると見るのが正しいのかも知れない。ただ、1980年代後半には暴力的に一方向に動いた。人口動態が大きく傾いている現在、もしかしたら国力に見合った調整が過度に働く可能性も否定できない。

さて、海外旅行はともかく、FPとして金融商品に関してどうアドバイスすべきだろうか。

  • 外貨建て資産を慌てて円転しない

もし今が円安のピークだと判断しても一気に円転しない事。買いで時間分散を推奨するアドバイスが散見されるが、売りに関しても同様。時間を掛けて円転していけばよい。

また、現在では外貨MMF等でも為替差損益に課税されてしまうので特定の年にドンと利益を計上してしまうのも考え物だ。その観点でも時間分散を考えたい。

因みに外貨MMFと異なり、外貨預り金は特定口座に含まれていないためか、どんなに為替差益が発生しても源泉徴収されないとの情報あり。

  • 塩漬け外貨建て資産を売却する

購入時と比べて大きく負け越している外貨建て資産があれば、今回の円安のタイミングで円貨建てで評価すると、評価損が思いのほか縮小しているケースもあるだろう。こうした売るに売れない銘柄を抱えているのであれば、この機会に処分するのも1つの手であろう。

  • 主要通貨の動向を把握しておこう

米ドルに対して大きく円安に動いている。長期スパンで他通貨の対円レートの動きを追っていくと、どんな景色が見えてくるだろうか。

<10年前、20年前の為替レートと比べてみた>

ちょうど10年前、2011年末は1ドル78円と過剰な円高局面だったので端的な評価が難しい。20年前と比べると、ドル円相場がほぼ同水準にあり、確かに20年前のレートに先祖帰りしたと解釈する事もできる。

端的に分かる事は、日本円と同じハードカレンシーであるスイスフランから大きく離されてしまった事だ。10年前は1ドル≒1スイスフラン=80円前後だったが、現在では1ドル≒1スイスフラン=135円前後と評価されている。これは「有事のスイスフラン」は昔も今も通じるが、「有事の円」が過去形になってしまった事を意味している。

英ポンドやユーロに対しては米ドルほど急激にレートが悪化しているとも言えない。これはウクライナ侵攻がヨーロッパ経済に影を落としているためなのか。豪ドルも似たようなレンジにいるが、20年前と比べると資源国通貨なので相対的にやや高い位置にある。

資産所得倍増ってなんだろう

資産所得倍増って何を言わんとしているのだろうか。造語を作るのもたいがいにした方がいいと思う。岸田総理がロンドン・シティで「もっと日本に投資して」と話している時に、英国企業に日本へ工場や研究所を作るようにお願いしているのかと勘違いしていた。大丈夫かと心配してしまったが、外人にもっと日本の金融市場で買ってくれ、と言いたかったのか。

<6/8東京新聞サイトより>

f:id:hassan01:20220608154609p:image

※出典
https://www.tokyo-np.co.jp/article/182107

言葉でイメージを先行させておいて後で混乱を招くのは勘弁して欲しい。それがホンネだ。また、経済格差の拡大が社会問題になっている時期に、そうした問題をより深刻化させてしまう懸念はないのだろうか。住民税非課税世帯に10万円を配れば4630万円が溶けてしまうし、なかなか思い通りにはいかない。

まあ折角の造語なので少し考えてみよう。

(1)ここ26年間の成長の軌跡

まずはネット検索して見つけた文章を紹介する。

======
1994年度を100とした場合、26年後の2020年度時点で家計金融資産は167.2、雇用者報酬は107.9、家計財産所得は58.4である(図表)。「所得倍増計画」も近い将来では実現性に乏しい計画だったが、「資産所得倍増計画」はそれに輪をかけて実現性が乏しいのである。
======

※出典はNRI野村総研
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2022/fis/kiuchi/0531

素直に読めば、金融資産や雇用者給与を倍化するのに四半世紀では足らなかったって事。どうみても1960年代の池田勇人総理の時代と競いようがないって事だ。まさか岸田政権が26年続くのはあり得ないし無茶だ。

もっと恐ろしい事実もある。家計財産所得がなんと26年前の半分強に落ち込んでいる事だ。これは長期的に低金利と超金融緩和が続いているので預金利息が付かなくなった事を意味している。利息だけなら半分どころか10分の1、100分の1まで薄くなっている筈だが、半分で留まっているのは多少なりとも証券投資に向かった事、上場企業の配当水準が上がってきた事が関係しているのではないか。

(2)金融所得を倍にするには

資産所得倍増を字義通りに読めば、資産が倍になるわけではなく、資産から得られる所得が倍になるって事。もし銀行預金であれば金利を倍にしてくれれば素直に利息収入も倍になる。でも、年0.01%(だったかな、でも間違っていても大勢に影響ないのが哀しい)が年0.02%に上がって何が嬉しいのだろうか。金利を100倍にして年1%にするだけでも1994年当時の金利にはとても追いつかないのではないか。

株式であれば、配当金が2倍になるとインパクトがあるけどこれは全ての企業に対して期待するには無理がある。先ずは確実に企業収益が上がっている事、配当性向がそこそこ低くて、しかも積極投資するアテがない会社に限られそうだ。もちろん、株価が2倍になってくれるのに越した事はなく、まるまる譲渡益になるので笑ってしまう。

利子所得であっても配当所得でも金利が倍化する事で所得税法人税も倍化するので、国としてもそれなりの実入りを期待できる。ただ、その分だけ国債の利払いも増えてしまうので、政府としてはずっと低金利をkeepしたいのだろうけど。そうなると、1ドル140円、150円と1980年代後半の真空地帯まで円安に落ちて行かないと金利は上げないのか。

(2)NISA制度の改善希望

【A】損失が発生したら譲渡損失として認識して欲しい事

NISA枠で購入した株式の配当所得も譲渡所得も5年間に限り非課税となる。ただ、想定外に株価が値下がりして大きく損失を被る可能性もある。通常の口座で買い付けていれば、譲渡損を他の譲渡益や配当所得と相殺できるが、NISA枠で購入した銘柄は損失相殺ができない。投資を促す立場で導入した制度なのに、そのままその損を被るだけでnettingできないのでは優遇制度と呼べない。

かつて1000万円の非課税購入枠があってその範囲内であれば非課税って制度があった。もう覚えていないけど、あの当時はこんな片手落ちな制度ではなかったんじゃないか。

【B】ロールーオーバーの手間を改称して欲しい事

これは投資する側としてはさしたる事ではない。ただ、この運用を徹底するために証券会社の窓口では無駄な作業が発生している。逐一顧客の意向を確認していくのだ。郵送と電話と、そんな事に双方で労を費やすのは無駄だ。

(3)DCやiDeCo制度の改善希望

【C】非課税と言いつつ受取時には課税される事

iDeCoは拠出時と運用時において非課税だ。拠出時には確定申告する事で所得控除を受けられるメリットもある。でも、60才以降にiDeCoで運用してきたお金を引き出そう(給付を受ける)とすると課税される。これがEETだ。Eはtax-exempt(課税免除)、Tはtaxed(課税)を意味する。

しかも、受取方によって税金の扱いが異なるので、どちらが有利なのか考える必要がある。一括受給すれば退職所得、年金として分割受給すると雑所得となる。某セミナーでは90%の受給者が前者を選んでいると聞いた。もし40年勤続した場合に退職控除が2200万円(800万+70万×20年)あるものの、もし退職金でその枠を使ってしまっていれば、DCを一時金で受け取るとまるまる課税対象額に含まれる事になってしまう。

しかもDCやiDeCo制度が創設されてから大金をこの制度で運用してきた世代が殆どいないため、最後にドッと課税される可能性がある事があまり意識されないでいる。私も、この話を知らなかったが銀行のiDeCo制度のZoomセミナーを通じて焦った事がある。この点をしっかり押さえておかないと、今後20~30年も積立を続けていた世代で想定外の課税を伴うケースがありそうだ。

そのため、EETの出口の課税方法をクリアなものに変更願いたい。出口がグレーなままで「非課税」をウリにして拠出を広げていくのは違和感があるのだ。

【D】退職時に売却を強いられる事

会社を転職すると、ポータブルで移管できるって聞いたがそれは本当だろうか。個人的には退職後にすぐ転職しなかったので、DCに預けていた投資信託は全て解約された。しかも、退職後に売却しようとしたらロックされていて、全てはDC運営側の処理日に合わせて一括で売却されてしまい、タイミングを計って調整する事もできなかった。

確かに在職中に時期を分散して徐々に売却できれば良かったのだろうが、勤務で多忙な時期にそこまで気が回らなかった。退職後に一定期間を設けて自分のタイミングで売却できるようにして欲しい。

【E】いざと言う時に引き出せない事

会社員している時にDC制度で気になっていたのは、60才まで引き出しできない制度設計なので、万一の場合にこの資金を使えない点だ。

私が勤めていた会社ではDB(確定給付年金)の時代に年金転貸融資制度があったのか未確認だったが、優良企業の福利厚生ではこうした制度が用意されていた。例えば病気や事故など急に必要になった場合、会社から年金資産を担保にして借り入れを起こせる制度だ。この制度があれば銀行預金の当座貸越のように流動性を確保できるのだ。

ただ、こうした制度を見聞したのは90年代前半だったので、最近でも同様の制度があるのかハッキリしない。ネット検索で「年金住宅融資」は見つけたのだが、平成17年を以って新規受付を終了と書かれていた。

DCやiDeCoにおいては、年金資産を担保とした借り入れは想定されていない。せっかく積み立てておいても緊急時に全くアテにならない存在では、運用拡大の足枷にもなりかねない。受給開始年齢を60才から後ろ倒ししようとする状況下にあって、制度普及を目指すのであれば改善の余地がある。

【2022.6.15追記】DCやiDeCo制度の改善希望の3点目として「【E】いざと言う時に引き出せない事」を追加しました。

NYダウが8週連続で下落

TVや新聞でこうした報道がなされている。確かに下落しているのは事実だろう。

 

<CNNサイトより>

 

この報道が出る前から、PFF優先株ETF)がジリジリ値を下げているのは気になっていた。昨年末の39ドルから直近で34ドルに下げている。高配当株ETFとか優先株ETFは余程の急落場面でない限り、債券のようにとても地味な値動きに終始している。こうしたETFが崩れるのはリーマンショックやコロナ暴落など限られた局面だけだ。しかも鋭角的に急落して、危機が遠のくにつれて値戻ししていく傾向があるようだ。ただ、今回は年始くらいからジリジリと下落を続けていたので気になるなとwatchしていた。

PFF> ※Googleサイトより

f:id:hassan01:20220527125919p:image

 

同様に、AGGやBNDなど債券ETFがズルズルと値下がりしている。AGGは昨年9月の116ドルから直近103ドルに下げている。こちらの方が下降トレンドに入ったタイミングは若干早い。2021年末辺りからと読み取る事ができる。債券は金利上昇しているの株式と比べたら理由がハッキリしている。

<AGG> ※Googleサイトより


f:id:hassan01:20220527125914p:image

NASDAQのIT関連株が下がっているようだが、それは急上昇の揺り戻しだろう。ただIT株には縁がないので詳細は把握していないが、例えばPayPalの下落は凄まじい。昨年7月の310ドルから直近80ドルまで半値八掛2引きの水準を突き抜けて、74%安を演じている。β値が高ければいい時期もあれば悪い時期もあるって事。そう解釈するしかない。

バフェットがベライゾンを売却したって報道も出ていた。バフェットがNYマーケットから退場した訳ではなくあくまで銘柄見直しの動きだろう。自分の持株も下げているものの、2020年のコロナ騒動の初期と比べたら下落率や下落スピードが極端だとは思わない。2020年春先は本当に焦った。優良株で長年緩やかな上昇基調にあった個別株までボロボロ下がり出して目も当てられない状況だった。ちょうどこのはてなブログを始めた当初だったが、自分の気持ちを落ち着ける意味もあって、何度か不安に駆られた記事を書いたものだ。以下にタイトルを抜粋。

・下に転がり出すのか
・コロナで考える①(落ちてきたナイフはいつ拾えばいいのか)
・コロナで考える②(頭とシッポはどこにある)
・コロナで考える③(音楽が鳴っている間は踊り続けるしかないっていうけど)
・悲観は友、陶酔は敵

最近の下落はあくまでも1年スパンの上下動の範囲内に納まっているものと考えている。直近5/26終値が32600ドル台なので、年始1/2の36700ドル台と比較すると12%の下落に過ぎない。そう信じたい面もあるけど、今年もセル・イン・メイの嵐の中にあると思えばそれでいいだろう。しかも、NYダウが高値圏にあった、ロシアのウクライナ侵攻、米国の金利上昇などの要因もある。円高は地球規模でみたらローカルな動きなので、米国株にとってドル相場がどんなimpactを与えているのか俯瞰できるような視点は持ち合わせていないが、少なくとも強いドルは強い米国を想像させてくれる。2日続けて2000ドル安では困るけど、1日1000ドル前後の上下動は少し突き放して見ておくくらいでいいのではないか。

逆の動きで気付いた事を挙げると、ここ最近で薬品株が全般的に1割くらい地相場を上げてきている。薬品株は旧来のメガファーマから免疫系や遺伝子型などローカルな開発競争に変わった感があるけど、旧来の薬品株がジリジリ上昇している。米国、英国、スイスなど欧米諸国でリンクして水準を切り上げてきている。僅かなものだろうけど薬品株は保守的なので、平均株価の値動きもこれまでよりすこしマイルドな方向になっていくのかも知れない。

 

【2022.6.15追記】今週もNYダウは崩れている。本文ではIT関連株の例としてPayPalを挙げたが、他にもある。MicroStrategyは8倍まで急騰したものの結局は2年前の水準に戻ってきた。正しく行って来い。NVIDIAは高値から半値、5年前の水準から10倍高を演じたSquare(現block)も78%安のレベルだ。

金利上昇もあってNY市場全体がツレ安しているものの、総じてITバブルが正常化する過程と見ていいのではないか。

 

【2022.6.23追記】直近1年の高値と6/21終値を比べてみた。全体やセクターの動きは代表的なETFで、個別株は上に挙げた銘柄を含めて7~8個をpick-upしてみた。こうしてみると、確かに下がっているな。いつもダウの数値は気にしているけどチャートで見る習慣がないので、相対的な位置を冷静に把握できていなかったのが甘さだ。

<直近の世界株価動向>



BHPとWoodside Petroleumのニュース

最近は日経新聞を読まない日も多いので、スルーしている事が多い。

「BHP株主に5.534株につきwoodsideが1株を割り当てられる」と言われても何のことだかピンと来ない。電話でビックリして慌てて検索してみた。

尚、BHPとは豪州最大手の資源採掘会社。数年前に英国のBillitonと合併して豪英の2元会社になっているが、その後の動向はあまり押さえられていない。鉱山会社の例に漏れず株価の値動きも配当支払いの増減も激しい。一旦値動きをチェックしていると、ちょっと驚くものがある。

f:id:hassan01:20220523132547p:image

(1)ネット検索

さて、同社のHPによるとこう書かれている。

======
BHP shareholders are expected to be entitled to one Woodside Share for every 5.5340 BHP shares they hold on the Record Date.

Based on Woodside’s share price of US$25.55 at 6 April 2022, the implied value of BHP Petroleum is US$23.4 billion. At this valuation, which is subject to change, the in specie dividend would be US$4.62 with US$1.98 of franking credits being distributed per BHP share (US$10.0 billion of franking credits in total).
======

※出典

https://www.bhp.com/news/media-centre/releases/2022/04/update-on-bhp-petroleum-and-woodside-merger-and-share-distribution-information

M&AはMerger(合併)and Acquisition(買収)の略であり、これが企業合併の話なのは分かる。株式配当される事が書かれているようだが、悔しいかな英語は読めない。それと豪州株なのにADRを米国上場しているためかUSD建てで書かれているので紛らわしい。素直にロイターをチェックしてみる。

======
2022年5月19日5:31 午後
見出し: 豪ウッドサイド、BHP石油部門との合併を株主承認

ブリスベン 19日 ロイター] - 豪石油・ガス大手ウッドサイド・ペトロリアムは19日、株主総会を開き、BHPグループの石油部門との合併を承認した。企業価値400億ドル相当と、世界トップ10に入る独立系石油・ガス生産会社が誕生する。……(中略)……BHP株主は合併後のグループ株式48%を保有する。
======

※出典

https://jp.reuters.com/article/woodside-m-amp-a-bhp-idJPKCN2N50IR

ついこの間までSDGsのもとで化石燃料が目の仇にされて、メジャー各社は石油経営からの脱却を図っていた。資源最大手のBHPも石油を扱っていたため、そうした外部圧力に迫られて石油事業の売却を検討する事になったのだろう。ただ、2月のロシアによるウクライナ侵攻によって原油価格は大きく値上がりして将来的なSDGs達成よりも目先の資源確保に躍起になり、メジャー各社の利益レベルも新型コロナ騒動の当初と様変わりしてきた。なので、タイミングとして悩ましいが、業界再編は際限がないのでこれも1つのプロセスなのかも知れない。

(2)外国株のありがたさ

これで、期せずしてwoodsideの株主になるようだ。日本株をいくら保有していてもこうした話は舞い込んでこない。ソフトバンクグループ(SBG)傘下の電話会社のソフトバンクが上場した時でも、売却代金を手にしているのはSBGであってSBGの株主には何の恩恵もなかった筈だ。企業設立や企業分割の建付けが違うためか、少数株主にこうした利益が転がり込んでくる事はない。

でも、外国株を保有していると時々こうした「棚ぼた」的な連絡をもらう。いくつか挙げてみると……

・A社のB部門を分割して新株割当。更にC部門を分割して新株割当。
・D社の優先株が発行されるが日本では割当NGなので、権利の売却代金を得る。
・E社の社債パッケージも日本では割当NGなので、権利の売却代金を得る。
・F社のG部門を分割して新株割当。
・H社のI部門を分割して新株割当。
リーマンショックの直後に経営が傾いたため。J社、K社、L社が有償増資。いずれも権利の売却代金を得る。
・新型コロナショックでM社が有償増資。権利の売却代金を得る。

偶に困るのは、大損している銘柄で有償増資の現金化でcashを得た場合だ。これは譲渡所得になる。本来なら多額の含み損を抱えているのに、その銘柄でポンと譲渡所得が計上されて、20%が源泉徴収されてしまうのだ。そうなると、元の株を損失覚悟で売ってセットオフする、そんな機会を得られるチャンスでもあるのだが気分的には複雑だ。

 

【2022.5.27追記】

割当前のBHP、WPL株価=それぞれ47.7AUD、29AUD
割当後のBHP株価=約44AUD  ※WPLはまだ値が付いていない
BHP100株につき割り当てられたWPL株数=18株

もしWPLが29豪ドルのままだと仮定すると、若干のプレミアムが付いた感じになる。まだ正確な所はハッキリしていないが、BHPの取得コストが変わらないのは他社の分割事例と同様だろう。
Before: 47.7×100=4770
After: 44×100+29×18=4922

 

【2022.6.10追記】

Woodside Energyの株価は5/25に約29AUDからスタートして、6/9現在で34AUDに上昇している。TickerコードはWPL.ASXではなくWDS.ASX

日医工は大丈夫か

先日、日医工の経営に関して心配なニュースが出ていた。この問題を考えてみよう。

産経新聞HPより>

f:id:hassan01:20220519152531p:image

(1)状況整理

======
後発薬大手の日医工が私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)を検討していることが12日、分かった。品質不正で2021年3月に業務停止命令を受け、業績が悪化していた。国の普及策によって市場拡大の続いた後発薬は品質不正が相次ぎ、再編の局面に入っている。
======

※出典
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC120P70S2A510C2000000/

その直後に検討していた事が現実になってしまった。

======
13日、私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)を申請したと発表した。……(中略)……日医工は品質不正により業務停止命令を受けたことで業績が悪化し、同日発表した2022年3月期連結決算(国際会計基準)は1048億円の最終赤字だった。
======

※出典
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC130VQ0T10C22A5000000/

 

(2)株は切り返している

Yahooで株価チャートも見ておこう。(5/19終値べース)

<YahooFinanceより>

f:id:hassan01:20220519152559p:image

(3)後発品メーカー

日本医薬品工業と言う昔の名前で覚えている。いかにも地味な社名だ。後発品メーカーなので代表的な薬品もなさそうで、特に保有を考えた事もない。

後発医薬品は怪しい。いくら同じ成分を有していると言っても全く同じものを作っているのか分からない。何よりも薬価が割安になっているのってその効能を疑ってしまう。医師によっては「抗生物質ゾロ品は効かないからダメ」って言い切っている。だから、自分が薬局に処方箋を持ち込む時には、多少高くなっても構わないのでなるべく後発品(ゾロ品)を避けるようにしている。特定のゾロ薬に関しては剤型の違いで先発薬より有用なものがあるのは知っているが、ここでは議論の本筋から逸れるので割愛する。

そんな中、昨年だったか小林化工(福井市)を筆頭に後発品メーカーの不祥事が続いている。そもそも自分達で定めた手順・ルールに則して製薬すべきものを、ルールを逸脱して製薬していたとか。

鉄鋼・金属メーカーで検査不正の不祥事が出るたびに呆れてきた。真偽はともかく「検査基準を満たしていないが品質に問題ない」って言い訳もどうかと思うけど、確かに事故が起きていないし産業用の製品ならまあいいか、と流してしまう面もあった。

でも、薬品となればそうはいかない。そもそも先発品メーカーが開発コストを負担して、苦労して厚生省の認可を得たものだ。それを、特許期間が切れたから安く作れると言って、全く同様の薬剤が製造されているのだと、信用できるのだろうか。しかも、開発費が不要なので製造費だけだから安く作れる。だから、ゾロ薬は安い。

厚生省も国民医療費を抑える目的で、処方箋の右下に小さく「後発薬を利用して構わない」と謳うなど、ゾロ薬の利用を積極的に誘導してきた。いま手元に処方箋が無いので正確な文言を記憶していないが、「後発品を処方しない事」にレ点を入れさせる形だったかも知れない。

(4)例外的に大事な会社

黒柳徹子高橋英樹など芸能人を使ってテレビCMを流している○○製薬、△△薬品と異なり、ここは必要な会社だと思っている。私がかつて手術を受けた時にも診療明細を見ると日医工の薬が投与されていた。もう何の薬だったか覚えていないけど、どーでもいい外来処方の錠剤ではない。術中か術後に投与された注射薬が日医工のモノだった。

同社のHPを見ても、他社のメジャーな先発薬をごっそり扱っている事が分かる。「日医工製品名」のあ行で検索してみると、殆ど聞いた事がない名前ばかりだ。でも、隣りに書かれている「先発製品名」で辿っていくと、実はメジャーな薬の名前がゾロゾロ出てくる。こんなに関わっていたのかと驚くレベル。

日医工の製薬例> ※HPを参考に作成

個々に書いていないけど、先発品メーカーの名前を知っている分だけでも挙げていくと、グラクソ・スミスクライン、ノバルティス、第一三共、アステラス、ファイザー田辺製薬などだ。この手の薬を「正しい工程を守って」安価に製造できているなら確かに需要があるのだろうと容易に想像できる。

なので、1人の消費者としては後発品メーカーだけど必ず立ち直って欲しい会社なのだ。JALや日産とは社会的価値が違う。

まあ、患者の一人としては後発品制度を廃止してくれた方が安全性の観点で嬉しいけど、海外諸国でもこの制度が運用されているのでそこまでの極論も言えない。

(5)投資家としての思い

JALや日産、山一のように以前から怪しいと噂されていた会社であれば、株価も転がり落ちてくるし新聞報道で気付くもの。それに対して、この日医工は全くノーマークだった。なので、他の倒産企業と違って驚いたのだ。それに割安な価格を提示して先発薬メーカーを駆逐しているのであれば、他社の製品やサービスでそこそこ代替がきく会社であれば仕方がないと思う。けど、医薬品は後発品であってもそれを必要とする患者がいる限りいきなり業務停止に追い込む訳にはいかない。

また、個別株に投資する投資家としては、こうして突然死のように上場企業が破綻に追い込まれて損失を抱え込むようでは困る。何のために、東証プライム市場ができたのだろう。東証の審査によって認められているからプライムに上場しているのではないか。そもそも1部上場企業数が頭でっかちになっていた問題は何も解決できていない。

昨今は、米国株でも日本株でもインデックス投資がもてはやされている。それは個々人の趣向なので構わないが、私はインデックス投資はほぼ関わっていない。インデックス投資だと確かに手間は掛からないし、こうした倒産リスクも1/100とか1/1000に薄められるので偶に羨ましく感じる事もある。でも、それは本流でないと考えるのだ。相手の顔が見えない投資はヤル気が出ないな。

ウクライナ危機下において商品投資ETFの状況をwatchしてみる

前回のブログで「原油ETFで懲りた事があるので、そちらに関しては改めて」と書いた。個人投資家が石油など商品を買う事は稀だろう。せいぜい10年くらい前であれば金投資とかプラチナ投資くらいだったのではないか。

(1)WTI原油ETF

ところが、今ではETF(Exchange Traded Fundの略:上場投資信託)、ETN(Exchange Traded Noteの略:上場投資証券)があるので少額から商品に手を出す事ができる。原油の値段は株価や為替レートと同様にニュースで接する事がある。時間帯によって、アジアではドバイ原油、欧州では北海ブレント、米国取引時間だとWTIの値段になるが、やはりメジャーな指標としてWTI価格を聞く機会が多くなる。

なので、一度投資してみたいと思っていたので、WTI原油ETFを買ってみた事がある。2015年当時にはまだSDGsなんて言葉が登場していなかったと思う。当時の原油相場がどの程度だったか覚えていないが、逆にWTI原油ETF保有しておく事で、原油市況に関心を持てるんじゃないかと考えた程度だった。石油資源が尽きるまでその価値がゼロになる事はないだろうし、上下動はあっても価格のブレが大きいので利益を取れるだろうと、安易に考えていた。

ところが、WTI原油ETFは下がる、下がる。2020年に付けた安値が465なので、買値の7分の1まで深く沈みこんだ。もうこれでは諦めるしかない。不思議な事に原油相場が同レベルまで値を戻してもWTI原油ETFはそのレベルまで値戻しできない。もっと下の水準に留まったままなのだ。

どうやら同商品は原油先物に投資しているため手数料分だけコストが嵩んでいくようだ。それ以上は調べていないのでもっと別の要因が潜んでいるのかも知れない。ただ、そんな事を調べてもしかないな、と切り捨ててある時期に売却した。結果として買値の20%くらいの値段で売らされてしまった事になる。

ロシアによるウクライナ侵攻で原油相場が100ドルを超えた時期にあっても、2015年の買値を越えていない。なので、ジリジリと値を崩してしまったのは残念だったけど、売却して忘れられた事は正解だったと自分を納得させている。

原油WTIの10年チャート>

f:id:hassan01:20220428231516p:image

 

(2)穀物相場にも投資できる

商品のETF商品として、農産物ETF穀物ETFも上場している。

これらに関しては原油ETFに投資した頃、ちらっと調べた事がある。ただ、原油と比べて圧倒的にETF出来高が少ない。そうした流動性に劣る商品だと売れないリスクがあると判断して、実際に買い付けた事はない。

ちなみに世界的に先物市場が整備されている農産物とは以下のようなものがある。コーヒーに関してはかつてIT企業に勤めていた時に、約定管理システムの開発に関わった事があり、そこで原産地によってアラビカ種とロブスター種があり、袋の大きさや取引通貨が異なると知った事がある。もう10年以上前の事なので現在は制度が変わっているかも知れない。

・大豆、とうもろこし、砂糖、小麦
・コーヒー、ココア
・livestock(家畜)

ただ、ウクライナ侵攻後に「富裕層は『こんな時こそ小麦だな!』と見抜いて投資しているんだヨ」と噂話を聞く機会があった。それで慌ててチャートを確認してみる。原油と同様に10年チャートで長期トレンドをザックリと見た。すると、確かに10年来の高値を抜いてきている。ここまで政治・軍事状況を素直に反映したものになるのか。驚いた。

<農産物ETF穀物ETFf:id:hassan01:20220428231512p:image

f:id:hassan01:20220428231509p:image

ただ、よくよく底値を付けた時期を確かめると今年ではない。農産物ETFは2020年3月で新型コロナウイルスが世界的な問題になり始めた時期だ。穀物ETFは2020年8月なのでコロナ禍が当たり前の時代に突入しており、しかもその秋の収穫の見通しがハッキリしてきた時期なのだろう。そうか、2020年はコロナ禍で株式市場も大きく暴落したけど、その裏で商品相場も独自の動きをしていたのだと後付けで知る事になった。今更ながらにマーケットの世界は奥が深い。

このウクライナ危機下において貴金属投資を考えてみる

ロシアのウクライナ侵攻もあって、このところ金価格は最高値圏を彷徨っている。なるべく中立に振り返ってみよう。

(1)概要

地政学リスクが高まっている。こうした時に注目されるのが金やプラチナ(白金)など貴金属。貴金属を買う場合にはいろいろな形がある。地金、アクセサリー、コイン投資、金鉱株、ゴールド系の投資信託ETFなど。いずれも購入時の単価が相当に嵩んでしまう。なので、高値掴みを避ける、長期的に値上がり益を狙う事を考えるのであれば、定額積立も有効なやり方だろう。田中貴金属など会社によって月3,000円程度からスタートする事ができる。

(2)メリット

インフレヘッジできる事に尽きる。米ドルであっても日本円でも長期的にペーパー・キャッシュは減価していく。ただ、金や白金の輝きは失われる事がない。あくまで重量に応じてその時の価格が相場によって決まる。

金の価格は国際的にロンドンで現物価格、NYで先物価格が決まっている。いずれもドル建てで1オンス(約31.1g)当たりの価格。日本での価格は円建てで1g単位で表記されている。

例えば、かつて1900ドル/ozで為替レート115JPY/USDであれば、円価格は

1,900ドル÷31.1×115×1.1=7,728円

となる。最後に10%増ししているのは消費税相当額である。

あくまで為替レートに影響されるため、ドル建てでwatchしておく方が、マーケットの素の値段推移を掴みやすいだろう。

(3)価格推移

先ずは金の30年チャートを見てみよう。

<金価格推移>

f:id:hassan01:20220321152745p:image

※出典

https://goldprice.org/ja/gold-price.html

ネット検索したものだが、このチャートがロンドン現物なのかNY先物かハッキリしないが、現在のスプレッドが4ドル程度なので不正確な点に関してはご容赦。

かつて1980年代にロシアのアフガニスタン侵攻で6000円の記録的な高値の後で長期的な低落傾向にあった金。一時期は約250ドル/ozまで沈んだが、それは英国が国家保有の金売却に動いた時期とほぼ同じ頃だった。その反転のきっかけとなったのは2001年のNY同時爆破テロだった。リスクを嫌った資金が徐々に見直し買いを入れていったもので、2012年までの10年で記録的な上昇を果たしていった。

(4)価格特性

前述の通り、国内では消費税込みの価格で取引される。それは買付け時、売却時とも同様なので最終的に影響ない。ただ、この事が数年前にニュースになっていたように、海外から消費税抜きの金地金を持ち込んで国内で税込みで売却するような問題行為のモトになっている。

また、貴金属をずっと保有していても金利は付かない。貴金属そのものが重たくならないためだ。ただ、定額購入制度を使って購入した金やプラチナを購入業者に保管してもらう事で、年単位で若干のプラスが期待できる。会社によって「満期ボーナス」などと呼ばれているが、貴金属の預託制度を使ったリターンであって、金額換算したり、重量そのもので保有者の口座に還元されてくる。

(5)金とプラチナの違い

金もプラチナも宝飾品需要がある。それに加えて、プラチナには自動車産業などで触媒として工業需要がある。かつては、工業需要と希少性(プラチナの産出量は全世界でプール2杯分くらいしかないとか)によって、プラチナ価格は金価格よりも高く推移していた。ところが、触媒としてパラジウムが利用されるようになった事などから、近年では金とプラチナの価格反転が生じて久しい。

ただ、こうした解説は常に後講釈として生まれるものなので、今後この相場感がどう変わっていくのか見通す事は難しい。需要動向だけでなく、米ドルの強弱感、地政学リスク(産出国の違いあり)が価格に反映してくる事も考えられる。

<金・プラチナ比較(1981年~)>

f:id:hassan01:20220321152748p:plain

※出典

https://lets-gold.net/chart_gallery/long_term_chart.php

(6)スポット購入体験記

定額購入制度にはスポット購入サービスを使える場合がある。ここは会社によって月単位、日単位なサービス範囲が異なっている。この制度はいくつかの場合に利用できるので便利だ。例えば、

・資金の余裕がある時
・相場が下落した時
・金とプラチナのスプレッドが想定以上に乖離した時
・消費税率が上がる直前

実は私も消費税率が10%になる直前に少し買ってみた。消費税8%上乗せで買っておき、10%になった後で売却すれば2%分は値上がり益になる。ただ、貴金属が2種類あるとどちらに投下すべきものか判断に迷う。相対的に高い金に乗っかっていくべきなのか、それとも割安なプラチナを選ぶといいのか悩みどころ。因みにその当時(2019年)はやや慎重に考えて金とプラチナを2:8でスポット購入した。

もちろん、短期で売買する必要はないし、そんな機敏な売買は向いていない。今後も消費税が上がっていく事は容易に考えられるので長期的に結果を待ちたい。

*

【註】引用した2つのリンクはチャートを検索したサイトであって、内容に関しては参考にしていない。

【註】銀やパラジウムに関しては不勉強で守備範囲の外にある。値動きに関しても全く把握していないし、太陽光発電に使われている事も本日初めて知った程度。それよりも原油ETFで懲りた事があるので、そちらに関しては改めて文章で振り返っていくつもりだ。