不動産に関わる相続・贈与の優遇制度を整理してみる

この記事もCFP試験対策であり、弊方の頭の整理を兼ねて書いておくもの。住宅購入時には少しでも多くの頭金を自分で調達できるに越した事はないけども、いざ試験勉強してみると優遇制度も整っている事が判る。

尚、1項と2項は購入時に使える制度であり、3項は相続後の土地売却で譲渡所得を軽減できるものだ。

(1)直系尊属から住宅取得資金等の贈与を受けた場合の非課税制度

省エネ・耐震住宅であれば1200万円、その他の住宅であれば700万円まで非課税となる。その条件は……

・受贈者が20才以上でその年の合計所得金額2000万円以下
・床面積50~240㎡
・耐震であれば建築後25年以内、その他であれば20年以内
・贈与を受けた翌年3/15までにそこに住む
基礎控除(110万)or相続時精算課税制度いずれか利用可

(2)相続時精算課税制度

通常の贈与税は110万円超で課税されるが、世代間の移転を促進するために同税を軽減するもの。即ち、2500万円までは非課税として、超過分につき一律20%課税して、将来の相続時に贈与分もまとめて相続税を計算する制度である。その条件は……

・60才以上の父母や祖父母から推定相続人となる子や孫(20才以上)に対して
・贈与を受けた翌年2/1~3/15に「相続時精算課税制度選択届出書」を提出
基礎控除(110万)は利用不可

(3)相続税の取得費加算

相続した土地を一定期間に売却する場合には、既に支払った相続税の一部を取得費に加算できるもの。二重課税を防ぐための緩和措置と考えると判りやすい。その条件は……

相続税を支払い済
相続税の申告期限の翌日から3年以内の譲渡

例えば、土地=100、建物=20を相続して、相続税を7支払ったものとする。後でその土地を150で譲渡する場合、通常であれば

譲渡所得=150―100=50

となる。そこに相続税のうち土地に起因した分を計算して取得費に加算できるので

譲渡所得=譲渡金額―(取得金額+相続税額×(土地相当額/相続した土地と建物の合計金額))

=150―(100+7×(100/(100+20)))
=150―(100+6)
=44

と圧縮できる。

このロジックは確定申告書に載っている「外国税額控除」の発想と似ている。こちらは配当金に関して海外と日本国内で二重課税されているので、海外での課税分を考慮して所得税の計算で若干割り引いてくれるものだ。

例えば、外国株の配当金=100、外国での配当課税=10、国内での配当課税=15だったとする。他に給与所得=400あり、所得税額=30だったとする。その配当金に関して総合課税を選択すれば、

国税額控除
=外国での配当課税×(外国での所得/所得総額)
=10×(100/(400+100))
=2

となり、所得税額30から2が税額控除される事になる。

相続税の取得費加算」にせよ「外国税額控除」にせよ、既に支払った税金の一部を考慮して所得税を計算してくれる制度が備わっていると言える。

【2021.6.10補足】

誤解の無いように補足させて下さい。

・通常、贈与税は年間110万円まで非課税となる。

・(1)と(2)は所得税の住宅ローン控除と併用可能。

・(1)に挙げた非課税限度額が古いものだったので訂正する。適用時期によって上限が異なる制度であり、上記の金額は古いものだった。現在(2021年末まで)は省エネ・耐震住宅であれば1000万円、その他の住宅は500万円までとなっている。

不動産売却時の譲渡所得を整理してみる

CFP試験が迫って来たけど、なかなか勉強が捗らない。頭の整理も兼ねて売却時の税金に関して整理してみたい。不動産って株とか証券投資と比べて自分事になる頻度があまりに低い。私自身でも経験ゼロなので、どうにも勉強に身が入らないのだ。

(0)原則

所得税の計算において殆どの所得は総合課税されるが、土地や建物の譲渡所得(=売却金額―購入金額―コスト)は分離課税される。税率は譲渡年の1/1現在でみて5年以内(短期)の売却なのか、5年超(長期)の売却なのかによって2択となる。バブル時代の土地ころがしなどを防止する意味だろうが、長期保有していれば15%、短期であれば30%となる。

もし相続したなど古くからの土地・建物で購入金額が判らない場合には、売却価格の5%をみなし取得価格とする事ができる。ただ、それって手にした金額の殆どが所得になってしまう訳で、税負担はあまりに大きい。

ここまで聞くと、この譲渡所得計算はあまりにも不利だと思える。ただ、住宅に限ってはいくつかの優遇制度が設けられている。以下ではそのいくつかを紹介していこう。

(1)居住用3000万円の特別控除

自宅として使っていた不動産であれば、所得、居住年数、所有年数に関係なく3000万円を控除できる。その条件とは……

・居宅であって他人に貸付けしていない事
・もし取り壊した場合でも、それから1年以内に売却契約を締結する事
・居住しなくなってから3年後の年末までに譲渡する事

尚、類似の制度として「空き家の譲渡特例」もある。条件も類似しており、

・相続後に居住や賃貸で使用していない事
・相続してから3年後の年末までに譲渡する事
・1981年以降に建てられている事、及び耐震性に支障ない事
・譲渡対価は1億円以下である事

(2)居住用財産の軽減税率の特例

上記の3000万円控除の後で、更に6000万円分は10%の軽減税率を適用できる事。その条件とは……

・1/1現在で10年超、所有している事

ここまで厚遇されていると、地方で自宅を売却した場合に、概ね課税対象額はゼロに落ち着くのではないか。

(3)特定居住用財産の買換え特例

大抵の場合、自宅を売却すればどこかに住み替える。そうなると、折角入った売却金額も右から左へ消えてしまい手元に残るカネは僅か、より良い物件に引っ越せば出超になってしまうだろう。そのため、買替する場合にも特例が設けられている。

譲渡金額<新居の購入金額: 全額繰延べok
譲渡金額>新居の購入金額: 一部繰延べok

課税すべき金額は将来に繰延べされる(=譲渡資産の取得額を引き継ぐ)が、取得時期を引き継ぐ事はできない。その条件とは……

・1/1現在で10年以上、居住している事
・1/1現在で10年超、所有している事
・床面積50㎡以上ある事
・譲渡対価は1億円以下である事
・売却した翌年末までに新居に住む事

この制度はかなり適用範囲が広く、買換資産が中古でも親戚が住むものでも構わないし、住民税にも適用される。

その代わり、この制度は選択適用になっており、「居住用3000万円の特別控除」や「居住用財産の軽減税率の特例」と重複適用する事はできないし、住宅ローン控除も受けられない。

(4)損益通算と繰越控除の特例

住宅を売却して常に利益が生じる訳ではない。古いマンションであれば価値が大きくdownしているケースもあるだろう。そうしたケースでは他の所得と損益通算でき、翌年以降も3年に亘って繰越控除できる。その条件は……

・1/1現在で5年超、所有している事
・上記住宅の売却で譲渡損が発生する事
・(繰越控除を受ける年には)合計所得金額3000万円以下である事

また、実際の適用パターンは以下の2通りある。

・10年以上の住宅ローンを使って床面積50㎡以上の住居を購入した場合

・次に買い替える訳ではないが、譲渡した住宅のローンが10年以上残っている場合

……

うーん、覚えきれないな。

【2021.6.10補足】

誤解の無いように補足します。

・ここで言う「住宅」とは「居住用財産」の事で、もし店舗併設であれば住居部分のみ、また住民票住所と現住所が異なる場合には後者を意味する。

・上記(2)と(3)で「所有10年」の縛りがある。もし10年以上前に親族が購入したものを最近になって自分が相続したものであれば、取得時期を引き継いで10年の要件はclearしたと考えて構わない。

宝くじ付きの定期預金は有利なのか

いつだったかマネー雑誌に載っていた商品について考えてみる。

(1)商品概要

3年物定期預金で、預入金額は150万円ごと。1単位を購入する事で、年間15枚のジャンボ宝くじを銀行が買ってくれる。購入金額に直すと300円×15枚=4,500円になる。

<ネット検索してみると>

f:id:hassan01:20210524224743p:image

(2)商品の優位性

円建て預金なので預金金利はほぼゼロであり無視するしかないだろう。ただ、宝くじ相当部分だけで4,500÷150万円で0.3%相当になる。勿論、リアルに0.3%相当(宝くじ買付け代金)が入金される訳ではない。仮に2単位、300万円の定期預金を組んだ場合、毎回10枚(年30枚)のジャンボ宝くじを購入してくれる事になり、必ず3枚(900円)は当選する計算になる。なので、期待値を計算するのはさておき、最低でも0.03%になるし、3000円とかまさか1億円とか淡いチャンスに期待する事もできる。

しかも、3年定期なので計45枚。保管、当選確認、入金手続きも全て銀行にお任せできる。もしかして当選しているのか全て銀行サイドでcheckしてくれるし、当選していれば同行の普通預金に入金されるとの事。宝くじは期待して買っても、当選日がいつだったのか、どこにしまっておいたのかついつい忘れてしまいがちなものだ。その点、銀行に全てお任せできるのは有用性を感じる。

(3)取扱い先

優良な地方銀行として知られる静岡銀行のネット支店限定で申込み可能なもの。都市銀行地方銀行もネット銀行に圧されて経営的に安泰とは言えないものの、地方銀行の中で相対的に優位な位置に付けているのでリスクは低いだろう。

他にも複数の銀行で取り扱っているようだが、先ずは手堅い銀行を選んでFPとしての紹介記事を書いてみた。

(4)商品の継続性

取り扱い開始時期を正確に記憶していないが、既に3~5年ほど経過している認識である。

(5)ネット上の評判

3つほど検索してみた。詳細は以下参照。

「定期預金で宝くじがもらえる銀行の比較と過去の当選事例」

https://money-lifehack.com/bank/3870

「宝くじを購入したい人にオススメ!宝くじ付き定期預金」

https://ecnavi.jp/mainichi_news/article/302ead30dc480704ecbe2a1c04602ea7/

静岡銀行の宝くじ定期預金はどれくらい当たるのか」

https://cruise-miler.com/shizugin-kuji/

ミネベアミツミの新聞記事を使ってEVAを復習してみる

半年以上も前になるが日経財務面にEVAについて深堀りした記事があった。私もかつてEVAと類似の指標を仕事に関わった事があり、昨年「ファインス入門」を学んだ事もあって、ちょっと机上で確かめてみたくなった。FPとして興味もありつつ、手を動かす事が面倒に思えてついつい後回しにして半年も放置してしまった。

実はミネベアが企業統合してミネベアミツミになっている事を知らなかった。ベアリングと言えば最大手の日本精工は知っていても、なかなかそれ以外の企業の事までfollowできていなかったのだ。

(1)EVAとは何か

さて、EVAは経済付加価値でEconomic Value Addedの略である。企業業績をチェックする上で大事な指標の1つは、税引き後当期利益だ。ただ、絶対額で同じ100億円を計上した会社があった場合、どちらか優劣をつける事はできるのだろうか。

その1つとしてEVAがある。同じ100億円を稼ぐにしても、限られたリソースを元にして努力した企業と、ふんだんなリソースを贅沢に活用して稼いだ企業があれば、前者の方が効率的に収益を上げたと言える。で、そのリソースを保有BSの多寡で以って判断しようと言う指標だ。利益の絶対額だけでなく、投下資本を有効に活用して利益を上げられているのか確認するのに有効なものだ。

確かこの指標を日本企業で初めて導入したのは花王だったと思う。同社は人事制度でも先進的で、もうかなり前になるが茅場町の本社に伺ってお話を聞いた事があった。遠い記憶だけど、あまり細かい事に拘らないで社員を信頼している姿勢に好感を持てた。

(2)日経記事のサマリ

注目したのはこの記事だ。

<2020.10の日経財務面より>

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<拡大してみる>

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 ベアリングメーカーのミネベアがPLとしての収益は上向いているものの株価が伸び悩んでいる。その理由をEVAで見た収益の停滞ではないかと書いている。収益が向上していても、EVAの計算要素になっている固定資産A/Cが膨らんでいる事がその要因だとしている。

(3)計算要素を整理しておく

まず、EVAの計算要素を説明しておく。

投下資本: 固定資産+棚卸資産売掛金―買掛金

ROIC(投下資本利益率): ROE株主資本利益率)と類似の指標だ。ROEは分母に資本A/Cを当てているが、ROCIは自己資本に負債A/Cを加えたものが分母となる。

WACC(加重平均資本コスト): BSのCr側(カネの調達元)の金額に応じて、株主資本コストと負債調達コストの加重平均値を求めたもの。尚、負債に関しては損金となって調達コストのimpactが低下するため、税効果を反映させる。

(4)EVAの計算式

EVAの計算式は以下の通り。
EVA=税後営業利益―投下資本×(ROIC―WACC)

かつて、某テキストでこんな式も学んだ。
EVA=営業利益(1―実効税率)―(投下資本×資本コスト)

また、こんな式もどこかのサイトで見た事がある。
疑似EVA=当期純利益―資本コスト

資本コストはあらかじめ計算しておいた結果を代入するようだが、BSのDrサイドでどのような計算をするのか、その詳細は未確認だった。

式の形こそ違えど、市場が期待している水準から超過利益をどのくらい獲得できているのかを知る目的にはたがわないだろう。ただ、いずれもBS/PLの結果だけを見ているだけでは簡単に算出できないのが面倒な所だ。

(5)実際に公式に当てはめてみよう

日経の記事に明確に載っていた数字は以下の通り。

EVA=198億円
投下資本=5740億円
ROIC=8.8%

これらを前項の最初に示した式に代入してみると以下のようになる。ただ、新聞記事だけでは読み取れない数値が3つもある。これだけだと、式が正しく成立しているのか確かめられず判然としない。

営業利益(1ー実効税率)―5740(8.8―WACC)=198

ネットで同社の2020年3月期の営業利益を調べると586億円だった。実効税率とWACCは容易に確認できなかったため、計算プロセスをキチンとトレースできない。なので、一般的な値として30%と5%を使ってみると、

586(1-30%)―5740(8.8―5)=192

となる。求まった結果だとEVA=192億円となり概ね新聞記事の値と齟齬ない。おそらく実効税率≒30%、WACC≒5%と仮定して問題なさそうだ。

【補足】(2021.5.30)

ミネベアの記事を見つけたのは昨年秋だったが、2021.4の日経でEVA経済付加価値の説明記事を見つけたので書いてみた。その記事に載っていた図表が判りやすかったので参考のため転載しておく。ご参考まで。

<2021.4日経より>

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インフラ投資ファンドの資産運用報告書を読んでみる

インフラ投資ファンドとは何か。あまり知らない分野だけに勉強を兼ねて読んでみた。尚、有益なネット情報を読んで知った事は各項の【註】に付記した。

(1)インフラ投資ファンドに注目した理由

昨年、あるセミナーに参加した時に30代と思しき人からこんな言葉を聞いた。

「株は値動きが激しいので怖い。でも太陽光投資は債券投資と一緒。お日様が上ってくれば発電してくれるので、後はチャリンチャリンとお金が貯まっていくだけ」

そう言われても、不動産投資なんてした事ないしドカンと借金する勇気もない。ただ、REIT(上場不動産投資信託)と同様にインフラ投資ファンドなら簡単に始められる。しかも最近はやりのSDGsとの相性もいい、それがインフラファンドに興味を持った理由だ。

尚、この項を書くにあたっていくつかネット記事を参照した。インフラ投資ファンドの概要に関してはそちらを参照願いたい。尚、ここでは個別サイトの紹介はomitする。

【註】インフラ投資とは太陽光発電以外にも風力などの再生可能エネルギー発電もあり得るし、空港や大規模施設の運営権もあり得るとの事。日本では太陽光発電に対する20年間の固定価格買取制度(FIT)があって収益が見通しやすいとの事。

(2)銘柄選定

では、どの銘柄が良いのだろうか。上場しているファンドはまだ1桁しかない。少しネット検索してみたが、以下の理由からタカラレーベン・インフラ投資法人のHPを参照してみた。以下にattachしたのはいずれも第10期資産運用報告書だ。

・親会社が上場している
・相対的に見て出来高の多い
・上場第1号
・以前、テレビ東京「モーニングサテライト」でタカラレーベン若い女の子が「いい大人が長いモノにまかれていちゃあ駄目だぞ」って大人をたしなめるCMを流していたのが印象に残っていた

<仕組みと特性>

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(3)分配金

時価120,000円くらいなのに対して半年間の利益分配金は3,300円程度。年額で6,600円と仮定すると税込み利回り5.5%程度。利益超過分配金が支払われるため、REITと同様で原価(買値)管理が面倒そうだ。

【註】減価償却費の一部が利益超過分配金として支払われるとの事。それは太陽光発電場所は土地が比較的安価な所に立地するため、相対的に建物コストの割合が高くて減価償却費(20年間。しかも20年後にも70%以上の発電能力が残っているとか)の割合が大きくて実際にcash-outしていないからだとか。でも、そんな理屈は上場会社の配当政策で聞いた事ないけど。

(4)成長性

個々の銘柄で比較していないけど、REITよりもインフラファンドの利回りが高いだろう。オフィスビルREITのように入居率を心配する事もない代わりに、安定性100%で成長性がないためなのか。

NOIは増加傾向にあってもそれは口数を増やしているためであって、一口当たりの指標が増えているとは言いにくい。それと、発電設備の更新後の見通しが理解できていない。建物や構築物の耐用年数が19~24年と書かれていたが、その頃にどの程度の更新費用が掛かるのか素人には判らないのだ。

<運用状況等の推移> ※2018.6~2020.11の2.5年間、5決算期のデータ

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(4)太陽光発電の粗利

実はこれを知らなかったのだが、素人は資産運用報告を斜め読みしてもハッキリ掴めなかった。と言うのも、発電設備ごとの収益状況は載っているものの、それが電力収入・電力収支ではなく「最低保証賃料」と書かれていたためだ。体制図を見ると、タカラレーベンとインフラ投資法人の間で賃貸契約があって、太陽光発電の収入を得ているのはタカラレーベン本体のようだ。

なので、太陽光発電がどの程度の利益を上げているのかハッキリ確認できていない。ただ、賃料収入を上げている点を捉えるとREITと同じ収益構造でシンプルなのかと納得できた部分もある。

(5)発電設備ごと一覧情報

物件No1~38が並んでおり、所在地は関東地方に偏っている。パネルメーカーは10社程度に分散されている。

ただ、買取価格は漸減傾向にあるようだ。Sequenceの最初の方だと買取価格が36~40円/kWhとなっているのに対して、最近になって取得したであろう末尾の方になると24~36円/kWhと低下している。これが将来的な採算悪化を意味しているのだろうか。また、残存調達期間が13~19年と書かれていた。

【註】固定買取価格は2012年の40円から2020年の13円まで徐々に切り下がってきている。他方で発電パネルの価格低下もあって、そこまで利益水準の低下にdependしていないとの事

(6)リスクの把握

成長性以外のリスクに関して、資産運用報告書からは読み取れなかった。ただ、ネットで得た知識も合わせると以下の通り理解した。

・固定買取価格が20年であり、その先の収益の確実性が見えない
・災害時のリスク対応(どこかで読んだけど他の会社によっては水面に太陽光パネルを置いているとか)
・地理的リスク分散(関東地方に固まっている印象あり)
SDGsは追い風だが、売電してる以上は送電会社に調整弁として使われる懸念はないのか

【註】地震に関してはPML値で管理されており、REITよりも手堅いらしい

2020年の確定申告を終えて

2020年の還付申告を終えて還付金が戻って来た。申告通りだったので、簡単にその報告を共有する。

(1)申告内容

・医療費控除
・配当の総合課税
・有価証券譲渡所得の証券会社間のnetting

(2)添付資料は殆ど持ち帰り

医療費明細も配当明細も紙キレが溜まっていた。例年、そんなものを家で保存しておくのも面倒なのでまとめて税務署に預けてきた。全て提出するから「後はヨロシク」って気分だった。税務署なら個人情報にも注意して廃棄してくれる筈と信じていたのだ。

ところが今回は全て突き返された。医療費も配当通知も丸ごとだ。しかも、証券の特定口座のサマリ用紙(支払調書かな)すら不要だと言われてしまった。まあそれだって金融機関と税務署の間でデータ交換されていれば、確かに電子情報で代用できるのだろう。それとも小口納税者に用はないって事か。某サイトでもこんな文章が載せてあった。

「確定申告時に、年間取引報告書、支払通知書の添付が不要となりました。納税者の利便性向上を図る観点から、2019年4月1日より確定申告時に特定口座年間取引報告書、支払通知書等の添付が不要となりました。」

(3)譲渡課税の還付

昨年の状況はこんな感じだった。判りやすいような例示で書いてみる。ここでは住民税を省略する。

【A証券】

損益 -100
配当所得 100
配当の源泉徴収所得税 -15
2021年初に特定口座で所得税還付 15

【B証券】

損益 +40 
譲渡所得税 -6

【申告概要】 

この状態で還付申告をする。2つの証券会社の譲渡損益をnetting(-100+40=-60)する事で、B証券における源泉所得税の還付を得た。譲渡所得税=0になり源泉徴収税額6を還付されるのだ。-60と損失超過になったのでこれは来年度以降に損失を繰越した。

(4)配当の扱い

上記例の続き。A証券での配当所得は特定口座内だと分離課税の扱いとなっていたけど、こちらは総合課税に変更して、配当控除を適用して別途還付に繋げた。

紛らわしいけど、配当所得を銘柄や支払い時期によって総合課税と分離課税の両方に当てられない事に注意。一部配当をそのいずれかに使って、残りを申告不要にするなら構わないけど、つい忘れてしまいがちなルールだ。

(5)住民税申告で知った事

市区町村の住民税窓口で、譲渡所得や配当所得に関して住民税を源泉徴収されているので、そのままになるように手続きを行った。そうすると、税務署に申告した確定申告の内容とは別に住民税用の所得を選択できて社会保険料の計算にも有利になるのだ。これに関しては、以前に以下で記載したのでそちらを参照。

配当税制を整理しておこう - hassan01’s diary (hatenablog.com)

ただ、念のため譲渡所得について確認してみた。A証券で-100、B証券で+40だけど、nettingすればマイナスだからB証券で源泉徴収された分は還付されるのではないか?

答は否だった。市区町村の住民税窓口ではA証券は所得が発生していない、B証券では+40と認識するのでその住民税は徴収された状態でthe endになるとの事。所得税では2口座を通算するのに住民税では所得が発生している口座だけcountするのだとか。本当なのか、時間がある時に確かめてみたい。

「AERA」のFIRE特集を読んでみた

3月下旬に「AERA」のFIRE特集を読んでみた。載っていたのは4名。

・桶井道さん
・エルさん
・アラサーdeリタイアのちーさん
・たぱぞうさん

たぱぞうさんの話は以前にセミナーで伺った事があるし、堅いなと思う。

でも、正直言って記事の内容は軽いと感じた。生活費が月8万円なら2400万円の貯金でFIREできるって紹介の仕方は「週刊ポスト」や「週刊SPA」なら構わないけど、朝日新聞系の「AERA」の扱いとしては雑すぎると思うのだ。年間コストの25倍の貯金があれば大丈夫って定義があるとしても、軽々すぎると感じた。

Simulationが荒っぽいのと同時に、記者が適当に取材してまとめた感が強い。ネットのまとめ記事ならともかく、アンケートを元に「AERA」の記者が表面つらをなぞったんじゃないか。これでも「AERA」の記事として成立するなら、他の分野でもその程度の事しか書いていないのかと疑ってしまうな。

もっと慎重に考える事は3点。

(1)どうしてFIREしたい若者が増えるのか、分析が足らない

やっぱりこの記事が興味本位で書かれているようにしか見えなかった。

(2)このまま米国株に集中して構わないのか

確かに過去10年のスパンで見ると米国株のパフォーマンスは良かった。次の10年も同じかも知れない。でも、市場商品はやっぱり循環物色されるものであり、いくら世界最大のGDPを誇る米国の株式であっても、そこに偏るのはどうなのか。誰か特定の個人が「米国だけ見ていれば世界株を全部watchしなくても大丈夫」と考えて米国押しで行くのは構わないけど、日経のような経済紙でもない媒体が米国株押しをするのが違和感があった。

まあ、自分が米国も世界の一部に過ぎないと考えている事もあるし、長期間市況が低迷すればETFとかindex投資を漫然と始めてしまった”にわか”初心者がとても耐えきれない期間を含み損で過ごす事も考慮すべきと思うのもあるからだ。

(3)今の経済状況の延長が50年続くと考えて大丈夫なのか

現在の経済状況がずっと続くと考えるのは危険だ。海外では21世紀になってからでもいくつかの国で経済破綻している。アルゼンチンとかブラジルとか、韓国やタイも20世紀末に大きなdamageを負った。ギリシヤの経済危機が叫ばれたのもユーロが運用された後だったので、21世紀になってからの事だ。

ずっと言われている日本の国としての借金もGDP比で200%を超えており、その水準に達した国はいずれなんらかの傷を負ってきたと言う。MMT(現代貨幣理論)は新聞記事とか何度読んでも理解できない。であれば、ハイパーインフレの可能性も捨て切れない。

スペイン風邪からほぼ100年後に新型コロナ禍が現実となった。1929年の世界大恐慌スペイン風邪の10年後くらいに発生した訳で、新型コロナの問題はまだ尾を引くだろうし、歴史を見る上では10年って小さな単位に過ぎない。人生にとって10年とか20年先のリスクはキチンと意識しておかなくてはいけないので、risk-facterを無視した、単なる掛け算が凄く雑に映ってしまったのだ。