H’s ある株ホルダーのFP日記

株ホルダーとして考えた事、FPとして伝えたい事を不定期に書いていくつもりです。

吸収合併やTOBで上場廃止になる銘柄を考える

前回は、スピンオフで親会社株主に新会社の株式(新株)が割り当てられるケースを見てきた。今回はその逆パターン、上場廃止の場合を見てみよう。ケースとしてはいくつかある。

A:倒産、会社更生法申請
B:吸収合併により被合併会社(清算会社)となる

C:TOB提案に応募する(100%の株を買い集めるため強制売却)
D:TOB提案に応募する(一定数の株を買い集めるため任意応募)

E:上場基準に抵触して上場廃止 ex.西武鉄道
F:経営陣にMBO  ex.ワールド

このうち最後の2つのケースは個人的に経験していないので詳細不明。その他の4事例を見ていこう。

会社更生法を申請した場合、その2ケ月程先に上場廃止となるためストップ安を繰り返しながら株価は限りなくゼロに近づいていく。ただ、面白いのが0円とか1円になるわけでもない。日本航空でも5~7円くらいで前後していたと思う。もしあの時自民党政権だったら倒産の憂き目に会わなかったかも知れないが、たらればを論じても意味がないのでやめよう。もし譲渡損失を計上するのであれば、とにかく市場で売却する必要がある。取引最終日まで放置していると売却していない状態なので、譲渡損失が計上されない。

その後、いくらその株券を持っていても、おそらく売却のチャンスは訪れないだろう。実際にトライアルで某マンション開発会社の株券を記念に保有した事がある。1990年代に株券を引き取ったけど、その後一度だけ会社から手紙を受取った記憶はあるけど、1000株21,000円はホントに紙屑となった。

Bのケースは、存続会社の株式を一艇割合で受け取る事ができるので、売却にはならない。よって譲渡損益は発生しない。

CとDのケースは優良な上場企業が上場子会社を吸収する場合によく使う手口だ。松下電工や松下通信工業がPanasonicに吸収されたとか、大和ハウス工業でもそうしたケースがあった。米国の医療商社が日本の上場法人を吸収したケースもあった。大手商社でも、子会社株式を高い価格で上場させた後で数年後に安い価格で上場廃止した例がある。その商社はそうした操作を何回か行っているが、常に安く買い叩いている訳でもないのでどこまで作為的なのか判然としていない。これらは保有株を手放すのだが、たしか売却(=譲渡損益発生)扱いになっていなかったと思う。日本株ではこうした経験が5回ほどあるが、いずれも10年以上前なので正確な記録が手元にない。

その代わり、数年以内にあったドイツ企業による米国企業の買収では、保有していたその米国企業の株式を手放す事になった。ドイツ社が自社株に交換するのではなく、米国企業の既存株主に現金を支払う事になっていた。元々その企業の種子事業に関心があったのだが、継続保有が叶わずそこで縁が切れた。その時に、含み益があったけど、現金化しても譲渡所得にはならないで済んだ。

Cは全株主に対して強制的に売却(or株式交換)を求めるものだが、Dは必ずしも応募しても買い付けないケースもある訳でriskyだ。これは日本の医療関連の薬品メーカー(親)と医療サービス業(子)の間で持株会社を編成する際に出てきた話だった。いずれも上場会社でHolding-Company設立後は旧親会社も旧子会社も持株会社にぶら下がる形となった。なので、資本金を適度な規模に抑えたかったのと、親会社の発言権をシッカリと確保したかったのだろう。当時、医療サービス業の株主でその会社が好きだったのだが、親会社の意向に振り回されるのはイヤだと考えてTOBに応じた記憶がある。

まあ、何らかの思いがあって株主になったのだから想定外の事態で売却を迫られるのは嬉しい事ではない。ただ、その会社がTOBなり被合併なり求められる立場になると言うのは、少なくともそれだけの潜在的valueがあったのだとpositiveに受け止めたい。そして、それは自分の銘柄選定眼が正しかったのだと思いたい。