本日も、CFP試験対策もあって整理しておくシリーズのパート3。個人的な事情で書いておく点をご了解下さい。
試験前にアップするつもりだったけど、過去問を解くほどに疑問が増えてしまいズルズルと遅れてしまった。
(1)2つの法定相続人
基本的な事だと思うのだが、過去問を解いていて最初に躓いたのがここだった。「民法上の法定相続人」と「相続税法上の法定相続人」の2種類があるのだ。それが問1と問2で立て続けに問われてきたので、過去問ながら焦ってしまった。
テキストを漫然と読んで判ったつもりだったけど、実は何ら理解できていなかった訳だ。1つ理解できたつもりでも、別の年の過去問を見てまた固まってしまう、素人が苦しみながらようやく理解できたのは下表の通りである。2つの法定相続人の識別はmustであり、このように区別して覚えておけば大丈夫!
もしこれをお読みの有識者の方が不備にお気づきであれば、誤りをご教示頂けたら幸いである。
<法定相続人の私的な整理>
相続税の計算は、前半で法定相続人が法定ルールに沿って相続した場合の税総額を計算するし、基礎控除額も3000万円+600万円×法定相続人数で決まる。後半では、それを実際に相続する人の金額に応じて配分していくルールになっている。最初はどうしてそんな面倒な事をするのだろうと疑問に思っていた。でもそれは、現実が法定相続とギャップがあったり、特別受益など家族には家族の歴史が積み重なっている為なのだ。
(2)相続放棄とは
相続税の計算において何かと紛らわしいのが相続放棄と養子だ。今回は相続放棄に関して、自分の理解を確かなものにするために書いておこう。
概要: 相続発生後に、相続しない場合には3ケ月以内に単独で家庭裁判所に申し出る事
これだけなら簡単だ。
でも読んでいくといろいろな所でルールが出てくる。例えば、
・一度放棄したら、熟慮期間でも撤回できない(尚、もし脅されて放棄した場合はその限りでない)
・放棄した人が実は遺産を隠匿していたら単純承認した事になる(でも他の人が相続した後なら別のルールあり)
・放棄した人はその子に代襲相続させられない
・放棄しても生命保険は受取る事ができるが、非課税枠の500万円は利用できない
・特定遺贈を放棄しても、相続は放棄しないで単純承認できる
・相続税を計算する際の法定相続人としてcountするけど、その人が負った債務控除はできない。(尚、葬儀コストは控除できる)
・通常は未成年相続人が放棄する場合には利益相反を避けるために法定代理人を立てるが、未成年相続人とその親(こちらも相続人)がともに放棄する場合には法定代理人は不要
・配偶者の税額軽減(税額控除)は該当者が放棄しても遺贈を受けていれば適用可能
・放棄したら相次相続控除は適用されない
・(まだ他にあるかも・・・・・)
もうここまでくると、覚えきれない。およそ決定経緯など納得感を抜きでルールだけ頭に詰め込もうとしても、無理がある。仮に覚えた分でもCFP試験が終わったらそのまま消えてなくなりそうだ。
こうした時に独学は限界を迎える。私自身に相続税が縁遠い事もあって、これでは行き詰まってしまう。
(3)今の相続・贈与制度について
流石に困って、ネットで相続についての動画を漁ってみた。
法定相続人が妻と子供の場合、妻が半分、残りを子供の数で均等割するのが戦後の法定相続だ。ただ、このルールができた当時は、子供の数が5人とか6人とか多かった。なので、子供1人当たりの相続分は10%程度に収まり、目の色を変えて争族するほどの価値もなかったようだ。でも、現在では子供の数がそこまで多くない。1~2人なので、だからこそ争族のタネになってしまうのだろう。で、家族を取り巻く状況が戦争直後の状況と大きく乖離してきた事は、時代に応じて見直していくのが相応かも、とどなたかが語っていた。ネット情報をあれこれと漁っていたので、出典を明示できない点はご容赦。
また、日経新聞の土曜面「マネーのまなび」も読んでみた。
相続税額の計算において、生前贈与を受けた(贈与当時の)金額を相続財産に加算している。現在では相続開始から3年間に限って遡っているが、これを5年とか10年に拡大しようとする動きがあるようだ。その信憑性はさておき、贈与税の基礎控除110万円を見直す案もあるとか。確かに定期的な生前贈与は相続税逃れに利用する事もできるので、公平化の観点では正しい潮流なのだと思う。ただ、historicalな情報を10年も遡って覚えておく事を要請されるのも現実的にはなかなか面倒な事だな。