H’s ある株ホルダーのFP日記

株ホルダーとして考えた事、FPとして伝えたい事を不定期に書いていくつもりです。

紛らわしい法定相続人と相続放棄について

本日も、CFP試験対策もあって整理しておくシリーズのパート3。個人的な事情で書いておく点をご了解下さい。

試験前にアップするつもりだったけど、過去問を解くほどに疑問が増えてしまいズルズルと遅れてしまった。

(1)2つの法定相続人

基本的な事だと思うのだが、過去問を解いていて最初に躓いたのがここだった。「民法上の法定相続人」と「相続税法上の法定相続人」の2種類があるのだ。それが問1と問2で立て続けに問われてきたので、過去問ながら焦ってしまった。

テキストを漫然と読んで判ったつもりだったけど、実は何ら理解できていなかった訳だ。1つ理解できたつもりでも、別の年の過去問を見てまた固まってしまう、素人が苦しみながらようやく理解できたのは下表の通りである。2つの法定相続人の識別はmustであり、このように区別して覚えておけば大丈夫! 

もしこれをお読みの有識者の方が不備にお気づきであれば、誤りをご教示頂けたら幸いである。

<法定相続人の私的な整理>

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相続税の計算は、前半で法定相続人が法定ルールに沿って相続した場合の税総額を計算するし、基礎控除額も3000万円+600万円×法定相続人数で決まる。後半では、それを実際に相続する人の金額に応じて配分していくルールになっている。最初はどうしてそんな面倒な事をするのだろうと疑問に思っていた。でもそれは、現実が法定相続とギャップがあったり、特別受益など家族には家族の歴史が積み重なっている為なのだ。

(2)相続放棄とは

相続税の計算において何かと紛らわしいのが相続放棄と養子だ。今回は相続放棄に関して、自分の理解を確かなものにするために書いておこう。

概要: 相続発生後に、相続しない場合には3ケ月以内に単独で家庭裁判所に申し出る事

これだけなら簡単だ。

でも読んでいくといろいろな所でルールが出てくる。例えば、

・一度放棄したら、熟慮期間でも撤回できない(尚、もし脅されて放棄した場合はその限りでない)

・放棄した人が実は遺産を隠匿していたら単純承認した事になる(でも他の人が相続した後なら別のルールあり)

・放棄した人はその子に代襲相続させられない

・放棄しても生命保険は受取る事ができるが、非課税枠の500万円は利用できない

・特定遺贈を放棄しても、相続は放棄しないで単純承認できる

相続税を計算する際の法定相続人としてcountするけど、その人が負った債務控除はできない。(尚、葬儀コストは控除できる)

・通常は未成年相続人が放棄する場合には利益相反を避けるために法定代理人を立てるが、未成年相続人とその親(こちらも相続人)がともに放棄する場合には法定代理人は不要

・配偶者の税額軽減(税額控除)は該当者が放棄しても遺贈を受けていれば適用可能

・放棄したら相次相続控除は適用されない

・(まだ他にあるかも・・・・・)

もうここまでくると、覚えきれない。およそ決定経緯など納得感を抜きでルールだけ頭に詰め込もうとしても、無理がある。仮に覚えた分でもCFP試験が終わったらそのまま消えてなくなりそうだ。

こうした時に独学は限界を迎える。私自身に相続税が縁遠い事もあって、これでは行き詰まってしまう。

(3)今の相続・贈与制度について

流石に困って、ネットで相続についての動画を漁ってみた。

法定相続人が妻と子供の場合、妻が半分、残りを子供の数で均等割するのが戦後の法定相続だ。ただ、このルールができた当時は、子供の数が5人とか6人とか多かった。なので、子供1人当たりの相続分は10%程度に収まり、目の色を変えて争族するほどの価値もなかったようだ。でも、現在では子供の数がそこまで多くない。1~2人なので、だからこそ争族のタネになってしまうのだろう。で、家族を取り巻く状況が戦争直後の状況と大きく乖離してきた事は、時代に応じて見直していくのが相応かも、とどなたかが語っていた。ネット情報をあれこれと漁っていたので、出典を明示できない点はご容赦。

また、日経新聞の土曜面「マネーのまなび」も読んでみた。

相続税額の計算において、生前贈与を受けた(贈与当時の)金額を相続財産に加算している。現在では相続開始から3年間に限って遡っているが、これを5年とか10年に拡大しようとする動きがあるようだ。その信憑性はさておき、贈与税基礎控除110万円を見直す案もあるとか。確かに定期的な生前贈与は相続税逃れに利用する事もできるので、公平化の観点では正しい潮流なのだと思う。ただ、historicalな情報を10年も遡って覚えておく事を要請されるのも現実的にはなかなか面倒な事だな。

配偶者居住権について整理する

本日は、CFP試験対策もあって整理しておく。古いFPテキストには載っていなくネット検索してみたので、それを個人的な事情で書いておくもの。その点をご了解下さい。

(1)前提知識

相続財産となるものはザックリ以下の通り。被相続人の給与は銀行振込されるので預金に含まれると考えていいだろう。

預金、有価証券、土地、建物、生命保険(契約者=被相続者、被保険者=他者)

みなし相続財産は次の通り。

退職金、生命保険(契約者=被保険者=被相続人

生前贈与や特別受益で受け取った分も上記に加算する。贈与に関して、相続時精算課税制度を選択したものであれば過去に遡って全て、それ以外のもので特例が適用されていないものは3年前に遡って加算する事になる。

(2)配偶者居住権

父親が亡くなると、母親がそのまま住み慣れた住居に住み続けるケースはごく自然にあるだろう。ただ、法定相続に沿って遺産分割してしまうと、妻が住居(土地と建物)を取得して、その代わり子供に現預金を渡してしまう事になる。結果として、残された妻が現金不足に陥って生活費に苦労する事があってはいけない。

そんな時に使えるのが配偶者居住権だ。所有権と居住権を切り離して、前者を子供が、後者を配偶者が獲得するもの。CFP試験の過去問だったか、その金額は半々に設定していた。いざネット記事を読んでみると、必ずしも折半にするものではなく、居住権の価値は配偶者の平均余命に応じて逓減していき、逆に所有権(利用権)の持ち分が増加していくのだと、理解した。

いずれ配偶者が亡くなった場合の二次相続を考えると、副次的なメリットを得られるケースもある。と言うのも、配偶者居住権として決めた分が所有権が子供に丸ごと移転しているので、相続財産が少なくなってくる。但し、子供が自宅を所有していなくて、かつ親の住居に住む場合には「小規模宅地等の特例」(相続税の計算において地積330㎡までの宅地に関して80%減額できる)が使えるケースもあるため、一概に有利不利を決める事もできない。

この配偶者居住権は残された妻が安心して住み続けられるメリットを得られるが、どのようにその形へ持っていけば良いのか気に掛かる。できれば、遺産分割協議の中で残された家族から自発的にそうした流れが出てくるのがベストだろう。もし、そうならないような懸念があれば、2020年4月以降は遺言書に記載しておく事もできるので大丈夫。

勿論、注意すべき点もある。

・配偶者居住権には登記が必要で、建物の所有者と共同申請する事になる。もし登記しておかないと第三者に対して対抗できない。

・増改築するには所有者の許可が必要。

・住居の一部を賃貸借に利用するにも所有者の許可が必要。

他に細かな点を見ておこう。

誰が固定資産税を払うのか? 土地・建物の所有者に納税義務があるので納税通知書は子供に届く(ようだ)。ただ、生活しているのが親なので実際には親子で相談して支払い方法を決める事になりそうだ。

台風による風水害、地震による損壊が生じた場合、所有者と居住者どちらが負担するのか? ネット検索するといずれの意見も載っていた。

<註>最後の2項に関して、ネット検索ではハッキリとルールを確認できなかった。

※2021.11.17追記:特別受益の持戻し免除について

配偶者居住権は夫が亡くなった後に相続人どうしで権利を整理するものであり、揉める可能性もある。できればそうした懸念は夫の生前に摘み取っておいた方が安心だ。そこで役に立つのが「特別受益の持戻し免除」である。

特別受益とは簡単に言ってしまうと生前贈与された分を相続財産に反映して公正な相続を行うためのルール。で、「特別受益の持戻し免除」とは、生前贈与加算の対象としない事に決めておく事だ。例えば、生前に夫名義の宅地と建物を妻に遺贈する事、並びにそれを持戻し対象外とする事を遺言で宣言しておく事だ。そうすることで、残された妻は安心して住み慣れた家に住み続けられるし、生活費に困らないで済むのだ。

金融機関のリアル店舗は大丈夫なのか

2019年頃だったか、福山雅治・主演のTBSドラマでは銀行の支店リストラがテーマだった。繁華街にあった銀行支店が概ねアパレル系店舗に置き換わってきており、概ねそうした動きは収まったのかと思っていた。が、実はそうでもないようだ。

(1)某証券会社の顧客リストラ

リアル店舗を持つ準大手証券の某社が担当制を廃止して、顧客を強引にテレホンバンキング部隊に移管させようとし始めた。そこでは担当者を付けないと言う。勿論、大口顧客であれば今でも大事に扱ってくれただろうけど、そういう立場ではないのが辛い。

いつだったか時期は定かでないけど「手数料も安くなりますしネット取引用のパスワードを通知する事になりました」と一方的に言われたので、その淡泊な営業姿勢に呆れてしまった。その時は一旦電話を切ったのだが、その後で忘れた頃に「意向確認」のハガキを返送するように仕向けてきた。そこまでするのか?

彼らも「自分達も今後の所属部署がどうなるか判らない」と喋っていたけど、先ずは顧客に対する真摯な姿勢を示してほしい。ただ、ネット証券の台頭で手数料体系も大きく崩れており、店舗を営む証券会社は個性がないと生き抜けないのだろう。その動きは今に始まったものではなく、もう10年、20年前からの静かな動きだ。誰かのブログで読んだけど、例えばテレビ東京で盛んにCMを流している岡三証券っていいんだろうか。ネット証券が提供してくれるツールを真面目に比較する気もないので、友人との繋がりで即決したままだ。

ただ、コロナ禍が後押ししたのか、リモートワークを始めたすごもりサラリーマンがこれを機会に証券投資を始めた人が多いと言う。そのため、ネット証券の口座開設は大きく伸びた。それに対して既存証券での動向はハッキリしない。

さて、私事だが小口投資家に対して対面証券会社のやる気のなさが思いっきり表れていたので、結局ネット証券に切り替えた。元々ネット証券とも取引があったので、これを機会にサヨナラする事にしたのだ。

個人的に考えるネット証券のPros/Consは次の通りだ。

Pros:
・手数料が安い
・余計な郵便物が届かなくなる
・ほぼ24時間、取引注文できる

Cons:
・外貨建て口座の残高把握が面倒
・暴落時の対応を未経験(ネット注文が正確に執行されるのか)
・証券不況時の対応を未経験(信用度は確かなのか)
・担当者がいない(営業機能は不要だが、税務処理とか税制変更時に有能な担当だとありがたいのだ)

移管に当たって特定口座間で上手く処理できた。円貨建ての取得金額は引き継がれているので税務上は支障ないけど、外貨の取得金額がゼロになってしまったのがチト寂しい。

(2)信託銀行の支店閉鎖

これまで信託銀行の印象と言えば、窓口で何かとダラダラ待たされる事だ。酷い時は2時間近く掛かった時もある。都市銀行は空いているし、1人1人の用事もルーチン的なもので時間が掛からないけど、信託銀行は客層も高齢化しており1組の顧客に割く時間がゆったりしている。が、1.5時間待ち+30分対応はストレスだった。

かなり前から空中店舗にシフトした信託銀行もあるけど、他の信託銀行では最近になって店舗廃止の動きを進めているようだ。ただ、いざそんな郵便物を受取ると、世の中の動きが他人事でない事に改めて気付かされる。

それにしても、そんなに関東と関西だけに集約して経営をスリム化したいんだろうか。某支店で話を伺うと口籠っていたものの、何人かの話を総合すると「ネット取引されている顧客はそのまま継続して頂いている。来店された顧客は半数が解約されている」ようだ。

でも、一旦外部流失した資金はもう戻ってこない。かつて信託商品「ビック」が消えた時にも時代の変化を感じたけど、統合して数を減らした信託銀行はまだシュリンクを続けて行くのか。

公的年金保険料を税金に変えると

公的年金制度に関しては楽観的な政府見解といろいろな方面からの悲観論も多い。

3年ほど前には年金2000万円問題が噴出したけど、足らないと思う人が多数派なだけに尤もな見解だとは思った。ただ、家庭ごとそれぞれの事情や地域ごとに物価の高低もあるので、それほど深刻じゃないって人もいた。私も、2019年の某旅先で「うちは田舎だから足りないなんてあり得ない」ってノンビリしたコメントを聞く事もできた。だからと言って、この前まで財務大臣をされていた麻生さんの「受け取らない」って歪んだ態度は頂けない。

さて、なんのTV番組で見たのか覚えていないが、選挙期間中に公的年金制度に関する議論を戦わせていた。確かBS放送の民放だったと思う。誰が出演されていたのかハッキリ覚えていないので、手元に残していた手書きメモを改めて眺めながら、所感を書いていく。

どうやら日本の公的年金は1939年(太平洋戦争の直前)に始まったとか。その当時は積立方式だったと言う。なんだ健全だったじゃないか。

そのうちに積立金があまりにも溜まってきたので、高齢者にバンバン支給したり、余計な施設を作ったらしい。その結果、負担に耐え切れなくなって賦課方式(同時代に若者から高齢者へ支える)に変更されたのだと言う。やっぱり日本の官僚とか政治家って計画性のないアバウトな生き物だ。

厚生労働省が発表しているモデル世帯だと、専業主婦の前提で家計の手取り収入35万円、年金になると22万円を貰える想定なのだとか。ただ、現在の日本では共働き世帯が多いのでこれがモデルとして妥当なのかって意見も出ていた。ここの議論は巷に溢れているのでここでは割愛する。

そのTV番組で面白かったのが、社会保険も税金にしてしまえばいいじゃないかってドラスチックな案が出ていた事。この辺りで寝落ちしてしまったので、ここからは個人的な所感を書くのに留める。

社会保険料も給与天引きされるモノなので、実感としては所得税や住民税と変わりない。なので、総論としては税に1本化しても構わないと思う。ただ、気になる事もある。2つほど挙げてみよう。

(1)上限等級と累進課税は逆向き

社会保険料は標準報酬月額を基準に決められているが、給与の高い人には上限(上限等級)が設けられている。これは累進課税されている所得税と徴収するロジックが異なるのでどう整合させていくのか。高額所得者は明らかに増税になり、しかも公的年金を青天井で貰える訳ではないだろうから不満が出てくる。

また、かつては賞与から社会保険料を控除するルールがなかったが、社会保険逃れの名目で賞与の割合を増やす会社があったため、10年ほど前から賞与でも徴収する事になった。税の徴収ルールが変更されれば人によって有利・不利が生じるのは否めないが、国としたら総額として1円でも多く掻き集めたいだろう。その点で不公平感を生まないルール決めが必要になるだろう。

勿論、一口に社会保険と言っても健康保険・厚生年金・雇用保険と3種類ある。このTV番組の論点からすると厚生年金だけだと理解するが、その辺もハッキリと整理しておく必要があるだろう。

(2)既存の積立金の行方

不公平と言えば、これまでに積み立てた年金額が制度移行によってどのように保証されるのか、それが大きな問題になる。年に一度送られてくる「ねんきん定期便」でもあなたの積立額がxxx万円、65才以降は毎年xxx万円もらえます、って書かれている。その根底が制度変更されたらどうなってしまうのか、正しく移管してくれるのか、年金記録でさえ記載洩れが社会問題になって政府が叩かれて、ドサクサに紛れて役所の看板を掛け換えてしまった。

個人的な経験を話すと、サラリーマンとして10年以上前に退職金制度が廃止されてDC(確定拠出金制度)に移管された時に、適格年金や企業年金の積立金は全て返還された。正確に書くと、返還された金額をDCの初期積立金として移管した人もあれば、キャッシュとして受け取った人もいた。でも、1企業の手続きならまだしも、現実的にそんな移管作業を国レベルでできるんだろうか。勿論、移管する限りは「最後の1人まで」間違いなく正確にやってもらわなくては困る。特別給付金10万円でも、ワクチン接種の予約券配布でも混乱はつきもので、その都度この遅さは何だろうと疑問に思ってしまうのがここ2年のコロナ禍で澱のように溜まっていった鈍い感触だ。

外国株で新株割当を受けたらどうなるのか

外国株投資において、忘れた頃に貰う(権利取得できる)のがこの通知だ。日本株の場合には、保有株そのものに対して株式分割が実施されて新株を受けるケースがある。1:2割当で既存の1000株に加えてもう1000株を加えて計2000株になるような例だ。その場合、株価が600円(×1000株=60万円)であれば、分割後には理論上は300円(×2000株=60万円)になる。

以下4パターンに分けて書いていくが、この記事では2項「子会社株の割当」を中心に据えている。

(1)株式配当

株式配当(Dividend Reinvestment Plan等と表記されている)の選択権が付与されるケースが最も多いだろう。最初は無償増資を受けたのと同じ気持ちで嬉しい。かつては実際に新株を受け取った事もある。ただ、株式配当だと1回の権利落ちで僅か数株くらいが増える程度なので単位株になるには長い期間を要する。また、外国株投資をする場合に配当金額を積み上げていく想定をされる方も多いと思うので、まず株式を選ぶ事はないだろう。

(2)子会社株の割当

今回の記事で注目しているのは、こうした例ではなく、A社株を保有している時にA社からスピンアウトしたB社株をA社の保有割合に応じて割り当てるものだ。新株の場合もあれば、A社の社債パッケージを割り当ててくれるケースもある。日本だとこうしたケースは極めて稀で、かつて伊藤園普通株の株主に対して優先株(現在も上場されている)を割り当てた事がある。それとてもう10~20年以上も前の事であり、その他の例を知らない。NTTからドコモが分離した際も、ソウトバンクGからソフトバンクが分離した際もあくまで親会社の株主に子会社の株式が割当られたのではなく、あくまで親会社が全て保有してそれを一般に売却していた。

実は、日本では極めて稀な事が海外銘柄ではそこそこ発生している。薬品株とか公益株でそうした例を知っている。そうした場合、証券会社から新株を保有するのか、すぐに売却して現金で受け取るのか選択するように伝えられる。

子会社株でもかつてはインターネットでリアルタイムに株価チェックできない時代だと、日経新聞の夕刊で終値をチェックできる程度で、それとて銘柄がごくごく限定されていた。ところが、これだけネット情報が発達してくるとtickerコードで検索すればリアルタイムで株価照会できる。決算情報も英語ながら取得できない訳でもない。なので、判らないなりに興味もあるのでちょっと保有してみようって事になる。

さて、こうして新株を保有すると税金はどうなるのだろうか。元々保有していたA株が100USDで、5:1でB株が割り当てられるケースを考える。為替レートは簡略的に1USD=100円としておく。

まずA株は20%分がB株に振り替わるため、権利落ち後は理論的に80USDとなる。20USD相当がみなし配当扱いとなって、その金額相当のB株が割当られる。もしA株を300株保有しているのなら、B株は60株となる。

20USD相当がみなし配当扱いになるので、配当としてその20%に対して源泉分離課税される。これまでの経験だと、円口座から4USD相当の円貨が引き落とされていた。また、A株が特定口座で買っていれば買値はそのまま変わらない認識だ。(実はこれまでそこまで注意してwatchしていなかったので自信がない。)

ただ、これまでハッキリと理解できていなかった事があった。B株の取得コスト(買値)はいくらになるんだろうか。かつては無償増資の間隔で捉えており、B株は無償で取得したので買値=0として手控えノートに記帳していた。なので、B株を売却すれば株価がいくらであろうと大きな利益として譲渡所得になると理解していた。

最近になって改めて考えてみると、これは間違っていたのではないか。取得時にみなし配当として権利を得ている。その時点で20%の税金が源泉徴収されているのだから、買値は20USDとして立てておくのが正しかったのではないか。その後、22USDで売却できれば10%の利益、18USDで売却すれば10%の損失とするのが正しいのだろう。

(3)有償割当

A株を保有している時に、株数に応じてA株を有償で買増しましょう、ってアナウンスが出たこともある。教科書で書いてある所の株主割当増資だ。

私もそうした権利を得た事があるのだが、外国証券口座の規定により、その国の株式を追加投資する事ができなかったため、権利が売却されてその代金だけ振り込まれた。なので、これに関してコメントできる内容がない。

(4)合併等で社名変更した場合

こちらは対等の精神で合併する日本企業でもままあるケースだ。ただ、外国株の場合には注意が必要だ、特定口座で購入していても合併後はずっと一般口座に出されてしまう。A株の100株はA’株の100株に商号変更されるだけで保有株数も何も相違はない。なのに、買値を自分で管理しておく必要に迫られてしまうのだ。

恒大集団ショックで世界の株式市場が揺さぶられるのか

秋は暴落のシーズン。ここ10日ほど中国の不動産会社・恒大集団で市場が揺れている。いつもなら全く知らない所から後頭部を突然殴られたかのように株式の大暴落が始まるけど、今回のはちょっと違う。暴落が始まった日より1週間くらい前から日経新聞で恒大集団の信用不安に関する記事が国際面などのトップで何度か載っていた。

ただ、恒大集団が業界2位と言っても、規模や特徴がどの程度の会社か判らない。日本企業で喩えると三井不動産のような超一流のデベロッパーなのか、かつて信用不安説が流れたマルコーや大京長谷工のように業種を細分化した中でみればややランクdownした中堅どころなのか、そんな事も判らないままボンヤリとやり過ごしていた。

<9/22頃の日経新聞より>

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で、ある日、香港株が急落しているのを見てビックリした。サンフンカイ地産(0016.HK)の株価が僅か1日で10%前後も急落していたのだ。片や中国本土で傾いた会社だが、サンフンカイ地産は香港を中心に手広く開発している不動産会社でIFCなど上海での物件も優良なものだと信じていたので、驚いた。

<SHKPの半年チャート(FTサイトより)>

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中国の不動産と言えば気になるのが、元々需要がないままに建設を繰り返していたんじゃないかって疑惑だ。以前、橘玲橘玲の中国私論」って本の写真を見た事がある。そこに中国の鬼城(ゴーストタウン)の写真がいくつも載っていた。それは私としても容易に肯首できる光景だったのだ。中国の新幹線に乗ってみると、将にそんな光景に遭遇する事がある。GDPを伸ばしていくには沢山の高層ビルを建設した方がいいに決まっている。新居に住む人が増えれば家電製品でも家具でも売上が伸びていく。でも、車窓から見える綺麗な高層ビルがいかにも寂しげで人が暮らしている気配を感じられなかったのを想起したのだ。

報道によればGPIFが恒大集団の株式や債券に96億円ほど投資していたとか。まあそれは分散投資の結果だからそれ以上の含意は何もない。

それよりも、はてこの急落が一過性のものなのか? 大きく傷口を広げていく突端になるのか、単なる相場の綾なのか定かではない。TVや新聞でしたり顔でコメントする専門家は所詮サラリーマンなので「一過性なので大丈夫」と言っておき、本当に大崩れした後になると後講釈を付けるように「長期的な下落シグナルが見えていました」と言ってみたりする。

なので、そうした言葉は聞き流すくらいに留めて、先ずは自分で考え続ける習慣を付けたい。株式市況が回復するケース、暴落に繋がるケース、どちらの可能性も考えられるのだから注意深くwatchしておくしかない。

ここではnegative要素に2つほど触れておく。

1つ目は資源株の動向だ。恒大集団の騒動が起きる前から、少しずつ世界の資源株(ex.BHP)が大きく下落していたのが気になっていた。個別銘柄の事象と言うよりも資源安に絡んだ値動きだろうと見ていた。石油株は昨年春に大きく叩かれた後でやや戻り歩調だったのだが、そこと逆行した値動きになっていた。景気悪化を見越して資源価格や資源株が弱含みで推移しているのならば冷静に対処する必要がありそうだ。

ちょうど本日10/1付け日経新聞の記事によると、BHPが産出している鉄鉱石がここ2ケ月ほどで大きく下落(7月の200ドル/トンから直近では120ドル/トン)しているのに対して、原料炭は上昇傾向が持続しているとか。その違いは、前者の鉄鉱石が日米豪印のクワッドに不快感を示した中国が豪州からの輸入を絞り込んでいるのに対して、後者は中国国内での生産が活発なためだとか。鉄鉱石の国際価格を左右できるのはそれだけ中国の価格統制力があると言う証左なのだろう。

もう1点は米国株を買おうと思って7~8月頃に個別株のPERをいくつかチェックしていた。ABBV、ATT、CME、ダナハー、MicroStrategy、サーモフフィッシャーなど、いずれもかなり割高な水準まで買われているのが分かった。もしかしてそろそろ天井なのか。BaxterやJNJなど旧来からの医薬品株はそんなに割高だと感じなかったので、手堅くそっちを候補にすべきだろうか。

上で6銘柄ほど挙げたが、MicroStrategy以外は最近になってwatchし始めた銘柄だ。因みにMicroStrategyはニッチなIT企業で、5年ほど前に最初に仕事でセミナーに出席させてもらう機会があった。セミナーそのものの評価をさておき、個別に質問させて頂くととても丁寧にlogicalな回答を頂戴出来て好感を持てたのを覚えている。その当時の株価は150.USD前後だった。ずっと忘れていたのだが、久々に株価をチェックすると600.USD、しかも今年初めには瞬間風速で1300.USDを突破して上昇していたのだから、やっぱり成長業種は侮れないな。

なので、本日のまとめとしてはこうなる。森の動きは俯瞰的に見ておく。それと同時に気になる木の動向も虫の目で見ておかないといけない。それと、変化の速い世の中の動向も魚の目で追っておかなくては、と思うのだ。なかなか手が回らないけどね。

国民基礎年金は消費税で賄うべきか

現在、国民基礎年金の原資はその半分を保険料負担で、残り半分を税金(国庫負担)で賄っている。その現状に対して、国民年金を満額受け取れない人がいるので財源を変更してしまおうって議論だ。これも、最近の自民党の総裁選で話題に上っていた件だ。

私も会社を辞めた後で初めて年金制度を理解できるようになったが、本日はFP的にこの件について考えてみよう。

(1)現状の制度を整理

国民基礎年金はサラリーマンも自営業者も保険料を支払っている。サラリーマンは厚生年金保険料として1階部分(国民基礎年金)と2階部分(厚生年金)の違いを意識する事なく給与から天引き(源泉徴収)されている。自営業者や学生は毎月17,000円くらいの保険料を納めている。これが20~60才の義務となっている。支払い困難な事情があれば、免除や猶予措置も用意されている。

<新聞記事より>

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国民基礎年金の支給は60~64才までに特別支給されている分は過渡期対応なので脇に置いておくと、65才以上となっている。もし20才から60才までの40年間に満額を納付していればそれが、年額で約78万円(月額で約6.5万円)が支給される事になる。ただ、自分が積み立てたお金を将来受け取る、そんな積立方式を採用している訳ではない。あくまでもその時代の若者(20~60才)の保険料を65才以上の高齢者に対して過去の保険料納付実績に応じて支給していく世代間扶助の仕組みだ。世代間扶助と言えば聞こえはいいが、この賦課方式って実は自転車操業と言えなくもないのが国民年金制度だ。

自営業者はここで終わりだが、サラリーマンしていれば、そこに厚生年金が上積みされるので額面で月額15~20万円くらいになる。正確に言えば年金収入は雑所得になるので所得税が天引きされる事になる筈だ。厚生年金の仕組みも世代間扶助なのか、それとも積立方式なのか正確に把握していないので悪しからず。

自分の場合、大学生の頃にそんな制度だと知らなかったし、そもそも当時は保険料支払い義務もなかったので20~22才の分を払い込んでいないし、免除制度を適用した時期もある。ただ、それを受取れる年齢に達していないので、需給に関して実感を持って語る事はできないが、年額78万円はおろか70万円にも届かない。

(2)満額受給されれば暮らしていけるのか

国民基礎年金が満額(年に約78万円)受給されれば、それでラクに暮らしていけるのか。まあそんな事はない、生活費の一部として消えていくだけだろう。そもそも老後の生活を完全に保証するための制度ではないと認識している。もしそうであれば、自営業者に2階建て部分を積み立てておくように若い頃から国が促しておくべきだ。

あくまで、国民基礎年金は老後の生活資金の一部として導入されたものだと理解している。かつてもう10年以上前になるが、そんな経緯を時の政治家がTVで語っていたのを思い出す。

(3)消費税を財源にする事が妥当なのか

だから、今回の自民党の総裁選でポッと出てきた話は、「最低限の保証として年金を配る」って発想であって過剰サービスのように思えてならない。一時期ベーシック・インカムの議論が出ていたが高齢者向けベーシック・インカムと言えなくもなく費用負担が嵩みそうだ。

社会構造の変化に応じてそれが妥当なら検討していけばいい。ただ、その場合に以下の視点も併せて整理する必要があると考える。

<a>生活保護雇用保険など他の扶助に関わる制度との整合性

手厚い制度を整備すると、どうしても既存の制度と重複感が出てしまうし、何らかの調整が必要になるだろう。某TV番組で竹中平蔵ベーシック・インカムを語っていた時にも低所得(or非課税)世帯に限定して毎月7万円程度を配るように聞こえた。その裏側ではどうやら健康保険制度も消えていくようなニュアンスがあり、表面だけを以って賛否を判断するのは如何にも危険な匂いがしたのを覚えている。

また、手厚い制度が整うがために一部でモラルハザードが広まる事はないのか、そうした側面でのリスクも懸念する。

<b>消費税は何%程度にアップすれば制度を維持可能なのか

消費税を財源にした所で消費税をその分だけアップすれば、結局のところ政府と消費者の間でお金が行ってこいで回るだけで実効性は薄いように思えてならない。

<c>これまでに20~60才の人が納付した保険料をどのように精算するのか

制度を一新する以上は、既存制度を不公平感なく解体していく必要がある。例えば、一般企業が厚生年金基金や適格年金制度を廃止してDC確定拠出年金に移管した際にも、既存の制度で積み立てたお金は全て従業員に返還された。個人的にもそうしたお金を受取った(or新制度の基金に初期移管)事がある。これは国民基礎年金の保険料に関しても同様のプロセスが不可欠だと考える。制度の変更を軽々に語る人には保険料を支払って来なかった人が多い。得てしてそんなもので、私の知り合いにもそうした暴論を一方的に熱く語る者がいた。

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いくつか論点を挙げてみた。拙速な提案はどうしても眉唾に疑ってしまうのは悪い癖かも知れない。

ただ、そもそもの所で年金制度は信頼できるのか? あるいはその逆に「100年堅持できる年金制度」って標語もある。どちらに信憑性があるのか、もっと現実とそこに潜んでいる問題点を今後もしっかり把握していく事が必要だろう。ここ数年でパート従業員などに厚生年金の加入が広がっていった点も、年金財源確保の観点、対象者拡大に伴う個人の手取り収入減(&将来の年金増)、企業の負担増などいろいろな変数が蠢いていた筈だ。