なんと、30年半振りに日経平均株価が3万円の大台を回復した。先ずは素直に嬉しい。
コロナ禍のサービス業不況に喘ぐこの時期に何故かと疑問に思うのも本当だ。ただ、数字は厳然たる事実であり、この状況に関してちょっと考えを整理しておこう。
(1)出来高整理
まず、思い出したのはほぼ30年前に野村総研の主任研究員だったリチャード・クー氏の言葉だ。正確に記憶していないけど、概ねこんな内容だった。
「日経平均が4万円まじかに迫るまでかなりの出来高をこなしていた。なので、日経平均が半値以下に急落したからと言って値ごろ感で急速に元のレベルに戻す事はあり得ない。上昇相場でこなした出来高とほぼ同量をこなすまで本格的な上昇基調に戻る事はないので、20~30年は要するだろう」
そう、30年の調整期間を経てようやく日柄整理を全うできたって感覚がしっくり来る。しかもコロナ禍で世の中が混乱している時期だったから、大した売りをこなさなくても真空地帯をシラッと値戻しした銘柄もあったのでは。
(2)日米の写真相場
2つ目に思ったのは、やっぱり日米の株式市場が写真相場に過ぎない事だ。NYダウが下落基調(もしくは停滞局面)にあって日本株だけが単独で上昇相場に入っているのならそれは喜ばしい事。でも、現実には米国大統領が変わって米国国内での高揚感がある、その時期における連動相場なので、これが単純に期待していいものか悩ましい。
(3)index上昇に寄与している会社は別物
それと、日経平均は重厚長大銘柄が多いとは言え、合併や消滅に伴って少しずつ企業の新陳代謝を反映している。少しずつと言ってもホンの僅かばかりだけど。例えば、鉄鋼、セメント、製紙、弱電、金融などで業界トップ企業を巻き込む合併が繰り返された。製薬業でも売上トップ企業こそ武田のまま変わっていないが、時価総額や業界内の評価は混沌としてきた。逆に、ソフトバンクGは30年前に上場していなかった(だろう)し、そもそもIT産業なんてこの30年で企業数も存在価値も大きく居所を変えてきた。
重厚長大企業の株価は決して上場来高値圏内に迫っている訳ではない。例えば旧指定銘柄でいくつか見てみよう。
30年前より明らかに上昇: トヨタ、三井物
30年前と大差ない: 住友電工当時より業容が沈んでいる: 東レ、パナソニック、NEC、三菱重工
※旭化成、日本石油、東京海上、平和不、日本郵船については、個人的に興味なかったので記憶も皆無
これらの銘柄が出遅れで循環物色の対象になることはあっても決して主役になるとは思えない。キチンとR/E(Retained Earning)を積み上げてきた会社であればともかく、銀行や鉄鋼など旧態業種はむしろ毀損している。3万円を示現するのに大きく貢献したのは、やはり継続的に一株当たり利益を伸ばしてR/Eを固めた会社だ。個人的にはfollowしていないけど、JPX400などスマートβ型のindex指標と日経225やTOPIXを比較してみると、そうした傾向が確かめやすいかも知れない。
(4)株価指数としての特徴
TOPIXやJPX400指数の方が指数として優れているかも知れない。ただ、如何せんそれらのindexを定期的にwatch&記憶する習慣が無いので、世間も自分も日経225にdependしてしまう。銘柄入れ替えが稀な日経225は長期的な上昇率がNYダウに及ばないだろう。NYダウ30種には、Apple、Amgen、Salesforce、MSFT、VISAなど比較的若い企業も含まれている。日本企業の成長力を指数に素直に取り込むのならNYダウのようにもっと銘柄数を絞り込んで、新陳代謝を活発化していく方が望ましい。後は指数の継続性をどのように担保してくれるのかだけだ。
(5)はて、自分の投資先は
ETFとか投資信託は嫌いなので個別株投資が殆ど。けど、値頃感も判断材料の1つとしているのでどうしても重厚長大型の銘柄が多くなってしまう。なので、indexと比べると昨年来のパフォーマンスは落ちている。ここは要検討なんだと思う。
ただ、ここ数年、なるべく日本株の割合をdownさせてむしろ外国株を増やしてきた。なので、日本株の中のportfolioを組み替えるよりもその路線を続けていこうと考えている。
(6)今後の行方
短期的にどう動くのか、そんな事は判らない。ただ、一旦勢いが付いたものは日銀の抑制策や暴落局面が襲ってくるまでそれなりに上昇を続けていくのではないか。