H’s ある株ホルダーのFP日記

株ホルダーとして考えた事、FPとして伝えたい事を不定期に書いていくつもりです。

右目で笑って、左目で泣いて

まだまだ米国株が下がっている。IT系が下げの主体だけど、金利上昇懸念があるのでその影響は他の銘柄にも及んでいる。私の保有株もドル建てではボロボロ下落している。以下の記事でも書いたけど、リスクを嫌って安定的な債券を選考してAGGなどのETFで損したよりは心理的なダメージは少ないつもり。

でも不思議な事に円建てで時価を算出してみると、下げは下げなんだけどそこまで悲惨な状況にはなっていない。

ある保有株の買増しを考えていて、7月にこんなメモを書いた。引用元のブログ記事は末尾にリンクを貼っているのでそちらを参照。

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前年末: 177USD×@115=20300円
直近で(7月当時): 130USD×@138=17900円
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この銘柄だけで考えると、7月時点でも円安・株安のため2021年末と比べて小幅安になっていた。

株価=24%安
為替=20%高
円建て=12%安

に留まっていた。-24%と+20%を掛け合わせると、-4%になりそうな錯覚を覚えるのだけど、そこは掛算なので大きい数字がより大きく効いてくる。-12%か。

今はどうだろう。ここ3ケ月で更に円安が進んだ。

2022.10時点: 115USD×@149=17135円

やっぱり株安と円安が相殺しているんだな。円建てでみれば、いつ買ったとしてもそうたいした違いはない。

結局まだ買増しに踏み切っていないけど、はてどうするか。

【個別銘柄として】

NYダウ30種構成銘柄なので配当は安定的に期待できる。それと、長期的な為替動向はハッキリ読めないけど、企業として成長可能性が確実であれば配当が下がる見込みも少ないので、仮にもっと値下がりしてしまったとしても。コツコツとは回収できる。

【季節性】

秋の暴落シーズンもそろそろ終わりが近い。過去には9、10、11月に大暴落が起きているけど、10月末がくれば3分の2は乗り切った事になる。

【メンタル】

ずっとウダウダ考えているのも精神衛生面で良くない。

……

そう考えるとスパッと買増ししておいていいかな。

 

※7月の弊ブログ

hassan01.hatenablog.com

 

※5月の弊ブログ

hassan01.hatenablog.com

マイナンバーって税番号のこと

河野大臣がマイナンバー・カードを2024年までに保険証に代替(切替)して使えるようにすると言う。一見便利なようだけど、やっぱり疑ってしまう。

(1)マイナンバーとは

先ずはマイナンバーの定義を確認しておこう。

マイナンバーは日本に住民票を有する全ての人に割り当てられた12桁の識別番号である。これは国民生活の利便向上と行政の効率化を目指して導入されたもので、利用分野は限定されている。税、災害、社会保険の3領域である。

現在、銀行に関しては任意扱いだが、勤務先や証券会社にはマイナンバーの提出が義務付けられている。これらは源泉徴収票や支払調書を本人に代わって発行しているため必要になるのだ。

これら3領域以外で他人のマイナンバーを得る事は、本人の同意があっても禁止されている。そのため、FPが顧客から源泉徴収票などマイナンバーが記載された書類を受取る事は法律違反となる。もし同書類を受取る必要があるなら、同ナンバーをマスキングするなど配慮が必要になる。

地方公共団体のHPより>

f:id:hassan01:20221015144010p:image

 

(2)疑問点あれこれ

1点目は、現在カード作成するとマイナポイントで2万円を配っている事。行政手続きで飴がついてくるのをあまり知らない。コロナ禍の10万円給付があったので国からカネを貰う事に抵抗がなくなりつつあるけど、でも考えてみると不思議な制度だ。どうしても裏があるのではないかと勘繰ってしまう。

2点目はプラスチック・カードの必要性が分からない事。マイナンバーの通知カードが全国民に配布されて番号を把握できているのに、どうして別のカードが必要なのか。これも将来像が見えていないので判断できないのだ。

3点目が情報管理。情報漏洩事故は困るけど、それ以外にICチップに埋め込まれる情報とは何だろう。もしカルテの一部であったらその内容を誰が見られるのか。ある医療情報を他の医師が見る事はまあいいだろう。ただ、A病院の診察・投薬に疑問を感じてB病院に同じ病気で通院する場合など、後で患者が面倒な場面に遭遇する懸念がありそうでなんとも怖い。

それに薬局の店員に医療データを見せる価値はあるだろうか。彼らは今でもお薬手帳を活用できずに、ピッキング作業の事を調剤費と称して診療報酬だけをサラっていく。彼らの仕事に意志(処方薬の決定権)がないので全くのムダ。

それと医療情報を必要な人に共有する以前に、そもそも本人が確認できないのでは意味がない。こうした点がハッキリしないと保険証の代替につかっていいものか迷う。

4点目はマイナンバーって呼称が曖昧すぎる事。海外に行って「マイナンバー」って英語は通用しない。ID番号ですらなく、あるのは「Tax.No」ってシンプルで明快な用語のみ。中国語圏だと「税番号」にとなる。これなら徴税目的なんだとストレートに伝わる。最初に「そんな番号は知らない」と言ってみたのだがいよいよ埒が明かなくなった。仕方なく「通知カード」を提示すると、係員は明らかに不機嫌そうで「なんですぐに出さなかったんだ」と言わんばかりだった。なんだ、国外には「税番号」って言っているんじゃないか。こうした裏表があると、隠された意図を感じずにはいられない。

(3)Wikipediaの「納税者番号制度」説明文

ここは素直に引用してみた。

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納税者番号制度(のうぜいしゃばんごうせいど)とは納税者の管理制度であり、国民識別番号制度又は社会保障番号制度の一つ[1]。納税する年齢に達した国民に固有の番号を割当て、所得や資産、納税の状況などを一元的に把握出来るシステム。アメリカ・スイス・ドイツ・フランスなどでは銀行口座と納税者番号の紐づけが義務化・行政システムのデジタル化がなされている……(中略)……行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の改正(マイナンバー法)に基づき、2016年(平成28年)に税と社会保障などの手続に使用するマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)が開始された。
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前半部分が役所の考える絵図だろうと容易に想像できる。しかもしっかり「税番号」なんだと書いてある。それを表に出してこないので不信感が残るのだ。

と言う事で、まだ気持ちよくマイナンバー・カードを作る気にはなれないな。

1ドル140円時代に外貨投資を始めるべきか

6月に円安に関するコメント記載をアップした。ただ、いざ読み返してみるとすでに外貨保有している人がどう行動すると良いのか書いたもので、これから外貨投資を始める観点では何も語っていなかった。なので、今回はその視点で書き足してみたい。

<東京外為> ※9/27付けDIAMOND online記事の写真

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(1)1ドル140円の世界

まず、短期/長期2つのチャートで今の立ち位置を確認しておきたい。短期として1年を選んだ。短期と言えば1日後の事を想像する市場参加者も少なくないだろうし、この選択は話者によってかなり異なるだろう。

<短期チャート> ※SMBC信託銀行HPより

<長期チャート>

※出典は以下の通り
https://finance-gfp.com/?p=3008

実は長期チャートをネット検索したのだが、大手金融機関のサイトではなかなか相応しいものがなかった。1980年代の1ドル200円超から150円を切る急騰場面は絶対に外せない。そうなると30年チャートでは意味がなく、上記サイトのグラフを紹介させて頂くのがベストと考えた。

これを見ると1ドル140台まで円安に振れてきたのは直近30年で2回目。最近のTV報道でも「賃金安の日本」、「外人さんから見たらまだまだ物価安のニッポン」と言われている。こうしたワードから推すとまだまだこの円安トレンドが続くのかも知れない。国の公的債務が1000兆円を突破している事も不安を煽る根拠の1つになっている。GDPの2倍を超えても国家破産していないのは日本だけって声も、経済不安になると囁かれる言葉だ。

ただそれが現実になるのか、それとも行き過ぎた振り子はやっぱり元の位置に戻って行くのか、誰もその明確な見通しは持てない。だとすれば、為替相場を体感するために僅かな金額でも外貨保有に踏み出すのは意味があるのではないか。

(2)どのくらい外貨を持つべきか

大きく円安に振れている時期なので、打診買いで構わない。最初は100ドル(1.4万円)とか10万円で構わない。自分の円を外貨に替えてみる事で、為替相場の変動をリアルに感じられるようになる。

(3)どの通貨がいいのか

金融機関によって取り扱い通貨は異なる。先ずは以下の理由により米ドルが現実的。

・日々のニュースでも為替レートが出てくる
・情報量が多い
・他通貨と比べて相対的にTTS,TTBのスプレッドが狭い
・現在は金利上昇局面にある

(4)どこで買うべきか

銀行でも証券会社でも構わない。既に口座を持っている金融機関でいいだろう。あくまで現物であってFXに手を出さない事。

特徴を挙げておくとザックリ以下の通り。

リアルな銀行: スプレッドがやや大きい。TTSとTTBで2円前後は開いているので損益分岐点を考えると割高になる。海外旅行で貯めた外貨を使う事を考える方もいると思う。その点では旧CITIBANKが優位だったが、現在のSMBC信託銀行での扱いは把握できていない。

ネット銀行: スプレッドが小さい。

証券会社: 外貨MMFは外貨そのものではなく外貨建て債券を運用している事になるので銀行利息よりは高くなる。

(5)外貨保有したらヤル事

ヤル事は2つ。

1つには為替相場の値動きをニュース等で追ってみよう。どんな時に円高/円安に振れるのか、ニュース解説のロジックに整合性はあるか。これには限界があってあくまで反対の耳から抜けてしまう程度で構わない。同じ事象に対してもそのタイミングによって解釈は異なるし、どれも相場の後講釈に過ぎないのだ。

もう1つは相場変動がメンタルに響くかどうか、自分に問うてみる事。そもそも米ドルに両替した時点で為替手数料(TTS-TTB)で2円くらいは損益分岐点の下に位置している。半年、1年経過した所で大儲け(or大損)するかも知れない。儲けられれば嬉しい。損した時にはそれをやり過ごせるメンタルなのか、それともちょっとでも損したら耐えられない性格なのか掴んでみる事が大切だ。もし損が出る事で日常生活に支障が出るのであれば、早々に円に両替して外貨保有から撤退しよう。

(6)その後の展開

性格的に含み損が負担にならなければ少しずつ増やしてもいい。時間が経過する事で僅かであっても利息(or分配金)が追加されて損益分岐点は改善していく筈。あとはゆっくり為替レートを見ながら円高局面で追加投資していけばいいだけだ。円安局面で回収すれば良いのだが、おかしなものでこちらはなかなか決めきれないものだ。

もし英ポンド、豪ドルなど他の通貨が気になればそちらに広げても構わない。但し、一部の金融機関が勧めているブラジルレアル、トルコリラなどは慎重に検討する必要がある。いずれもインフレ傾向のある国だ。産金国ではあるものの、南アフリカランドも不安定要素を抱えた社会のため注意する必要がある。

 

※参考ブログ

・3ケ月前:円安について

hassan01.hatenablog.com

 

・2021年4月:南アランド投資について

hassan01.hatenablog.com

 

・2020年2月:為替に関する基本認識

hassan01.hatenablog.com

hassan01.hatenablog.com

 

DCとiDeCo制度について

確定拠出型年金制度(DC)には企業型と個人型がある。

厚生労働大臣の承認を受けた企業型は、確定給付型年金制度(DB)の有無によって上限が2つに分かれる。DB制度があれば33万円まで、制度がなければ66万円まで積立可能。

個人型はiDeCoと呼ばれて、企業型に加入している人が追加積立をする場合に年間の積立金額上限は抑えられているが、これは2階部分の厚生年金保険が積み立てられているため。

公務員orDB制度あり……14.4万円
企業型DC制度あり……24万円
厚生年金のみ……27.6万

他方、1階部分の国民基礎年金だけの人は多めになっている。

1号被保険者……81.6万円
3号被保険者……27.6万円

DB,DCはポタビリティーを重視した制度設計になっており、他社DBや他社DC、iDeCo中小企業退職金共済との間で概ね(※1)移換ができるようになっている。ただ、その他の場合には半年以内に一旦解約する事になる。それを失念していると6ケ月後に国民基金連合会に移管されてしまい60才まで引き出しできなくなってしまう。

※1 iDeCo中小企業退職金共済の間では移換できない。

iDeCoは何かとNISAとの対比で語られる事が多いが、年金制度の1つである事を意識したい。受取方法は一時金(退職所得)か年金(雑所得)を選択できるが、もし万一の場合には障害給付金や死亡一時金の形で受け取る事もできるように制度設計されている。

年金制度であるため60才まで積立している資金を受取れないルールになっているし、現在では国民年金被保険者であれば65才(2022年5月~)まで加入できる。受取開始年齢を75才(2022年4月~)まで繰り下げる事もできる。

*

実はDC、iDeCoネタはいくつもある。以下に関しては別稿で書いていきたい。

・体験談:12年間のDC運用記録
・体験談:会社を辞めたら資金凍結されて、まとめて売却された
・体験談:移管先を探す、再度ポートフォリオを組み直す

・EETと言われている受取時の課税問題
・運用利回りの分布
ポートフォリオ例(優秀、平均)

公的年金の支給ルールを整理しておく

またまたCFP試験が迫って来た。漫然とテキストを読んでいてもスッキリしないので、頭の整理も兼ねて公的年金について整理してみたい。理解の都合上、遺族年金の記述では夫が先に亡くなって妻が残される設定としたが特に他意はなく、平均寿命のデータから多数派を例にする方が分かりやすいと考えたもの。

(1)老齢年金

【基礎年金】

繰上げ受給は毎月0.4%のマイナス、繰下げ受給は毎月0.7%の上乗せとなる。繰上げは基礎年金と厚生年金で揃える必要あるが、繰下げはバラバラで構わない。また、第1号保険者に限定した制度で付加年金(月々400円の支払いで月々200円加算)あり。

【厚生年金】

60才以上も働き続けると480ケ月を超えて受給額を増やす事ができる。また、夫の厚生年金加入期間が20年以上あれば、65才以上(かつ、妻65才未満or18才未満の子あり)になった時に加給年金が支給される。妻が65才に達した時には夫の加給年金が停止されて、妻の基礎年金にその金額が振替加算される。

(2)障害年金

基礎年金には子供の有無によって加算あり。

厚生年金は妻の有無によって加算あり。

(3)遺族年金

【基礎年金】

18才未満の子供がいる事が支給条件になる。妻がいれば妻に支給する。いない場合には子供本人に支給される。また、国民年金の1号被保険者で10年以上の婚姻関係があれば、寡婦年金(or死亡一時金)を受取る事ができる。

【厚生年金】

妻、子、父母などの順番で最も序列の高い1名に報酬比例部分の4分の3が支給される。もし加入期間が300ケ月に満たない場合には、300ケ月と見做して受給額を計算するので若い夫が亡くなった場合でも不利になる事はない。

但し、妻の場合には55才以上(受給は60才以上)である事が条件となるので、若い奥さんの場合には受給権が子供に移るケースもある。しかも30才未満の妻であれば、受給権は5年限りとなる。その後もし子供が亡くなった場合には、そこを起点として受給権は5年後に消滅する。

子供が成長して18才を迎えると基礎年金は打ち切られるが、そのギャップを補完する制度が厚生年金に用意されている。1つが中高齢寡婦加算で40~64才の子のいない妻、若しくは基礎年金を失権された方が対象となる。もう1つが経過的寡婦加算で65才以降の落ち込みをカバーするものである。

このように一家の大黒柱を若いうちに失ったとしても遺族年金が調整されるような仕組みになっている。まとめると以下の通り。

18才未満の子供を扶養: 遺族基礎年金
40才以降: 中高齢寡婦加算
65才以降: 経過的寡婦加算(及び、本人の老齢基礎年金)

(4)併給調整

老齢厚生年金を受給しながら働いている場合、その一部(or全額)を支給停止される。また、失業手当(雇用保険の基本手当)を受給している期間は、老齢厚生年金がstopする。

老齢厚生年金と遺族厚生年金の合計があるレベルを超えた場合には、遺族年金の一部がカットされる。

(5)その他

学生特例で年金を払わなかった場合、将来の年金額に影響してくる。但し、あらかじめ学生納付特例制度を申請しておく事で、老齢年金や障害年金の受給資格期間である10年にcountしてくれる。

ポートフォリオのリスク・リターン評価手法

ポートフォリオのリスク・リターン評価を考える上で、ヨコ軸にリスク、タテ軸にリターンをとってグラフで示す場合がある。この部分はCFP試験においても困った分野だが、できればテキストでキチンと把握する機会を持っておくのが望ましい。

(1)資本市場線

1つには下に凸な放物線を右に寝かせたような恰好で、そこにリスクフリー・リターン点(リスク=0で預金等の利率をリターンと考える)から放物線に対して接線を引く事で得られる資本市場線がある。因みに放物線の上方が有効フロンティアと呼ばれて、投資戦略として有用なエリア、接点がベストな投資配分と言える。

もう少し正確に言えば、この放物線は常に左に凸な曲線となる訳ではない。期待リスク、リターンの異なる2つのポートフォリオA,Bが2つあったとして、2ファンドの相関係数が1.0(正の相関)であれば直線となり、-1(負の相関)であればリスクゼロの軸上を通る折れ線となる。その途中は相関係数が引くまるに連れて、凸が左に突き出てくるのだ。

(2)リスク指標として何を考えるのか

市場全体であれば標準偏差σでいいだろう。正規分布においては日次の変動幅が概ね67%の確率で±σの範囲内に収まる。±2σの範囲に広げれば95%、±3σの範囲に広げると99%の確率で捕捉できる。勿論、マーケットには大暴落や急騰もあるので異常値が示現する可能性もありえる。

もう1つがβ値だ。市場平均の上下動と比べて、為替動向や市況によって株価が大きく変動する会社もあれば、食品や公益企業のように変動幅が緩慢な企業もある。市場平均と同様であればβ=1.0、振れ幅が大きければ>1.0、緩慢ならば<1.0となる。

また、リスクは2つに分解する事ができる。1つは非システマティック・リスクで銘柄数を増やす事でゼロにできるもの。証券会社の資料で「20銘柄くらいに分散すれば大丈夫」とか書かれているものだ。それに対して、システマティック・リスクはβ値に依存するのでマーケットが日々上下動を繰り返す存在である以上は不可避なものだ。これに関してもネット上でグラフと照らし合わせて確認して欲しい。

尚、ボラティリティー・インデックス(VX指数)もあるが、残念ながらこの指標を用いたリスク評価については把握できていない。

(3)評価指標

評価指標は2つあり、いずれも分母にリスク、分子にリターン(該当ポートフォリオのリターンー無リスクレート)を用いる。シャープレシオは分母に該当ポートフォリオのσを、トレイナー尺度は分母に該当ポートフォリオのβを使用する。いずれも、評価指標の値が大きいほど高パフォーマンスだと言える。市場全体を扱うようなインデックスファンドであればσを用いたシャープレシオが有用。逆に、銘柄数を絞ったオリジナルなファンドであればそれ用のβを用いたトレイナー尺度が適しているだろう。

(4)証券市場線を使ったジェンセンのα

リスク評価にβ値を使ってリスク・リターンのグラフを描くケースもある。この場合、無リスクレート(β=0)を切片として、β=1の場合のリターンを結ぶ証券市場線を引く事ができる。

その時、当該ポートフォリオのリターンが証券市場線(期待値)よりも上にあるのか下にあるのかで相対的な評価をする事ができる。この同一β直線上における上下のブレ幅をジェンセンのαと言う。プラスであれば標準より良好、マイナスなら標準以下になる。

Wikipediaで証券市場線を検索>

(5)評価指標の使い方

ロジックは分かる。同一カテゴリーでも類似する投資信託ETFがいくらでも存在する。そうした場合に評価機関が格付けするにはこうした指標を使う事はできる。でも、これらの指標を一般投資家が現実的に使うのだろうか、ここが問題だ。

現実には投資対象を決める所で終わりになると思う。取引証券会社が扱っている日経225とかSP500のファンドを一択するだろうし、投資においてここに細かく検討時間を割く事が大事だとは思えない。もしチェックするにしても星の数くらいで十分ではないか。

(6)資本コスト計算

はて、ここまで学ぶ中でどこか聞き覚えのあるロジックだと思った。そう、資本コスト計算で無リスクレートと同義の言葉を使っていたのだ。資産の多寡や保有資産の質を加味して資本効率を加味した利益額を考え直す概念だ。確かにテキストを読み進めるとこう書かれていた。

CAPM(資本資産評価モデル:Capital Asset Pricing Model)により求められた期待収益率は投資家が企業に対して求める収益率と見做すことができる。これを株主資本コストと言う」 ※一部補記あり

確かに投資家と企業、投信業者と市場平均それぞれに同じような関係にある。

こうしたファイナンスのロジックって、PV(Present Value)とFV(Future Value)でも思うのだけど、類似ロジックがそこかしこに登場する。配当割引モデル(見込み株価=配当÷期待収益率)も同様で、式は成立しているけど、期待収益率に込める想いは投資家それぞれに異なるのでなんとも共通の答えを導出できないのが辛い所だ。

(7)終わりに一言

今回の記事はflatに書いた。あまり熱量が無いのは自分の投資手法と異なり、こうしたファンド分析に興味がないためだ。自分としてはあくまで個別株派。その方針についてまだ語り尽くしていないが、1年前には例えばこんな記事を書いている。もし宜しければご参考まで。

hassan01.hatenablog.com

【註】この記事を書くにあたってファイナンスに関する某大学テキスト、並びにFP協会のCFP試験の過去問解説を参考とした。各種グラフをそのまま引用するのは憚られるのでネット上にも散見されるものを参照下さい。

他にインフォメーション・レシオがある。こちらは消化不良のため適切なコメントを付記できない。野村證券HPの文章を引用して終わりとする。

ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンとの差(アクティブリターン)の平均値をアクティブリターンの標準偏差(トラッキングエラー)で割って導出される。この数値が大きいほど、とられたリスクに対する超過リターンが高く、アクティブ運用の効率が高い」

Unileverや3Mなど外国株に関するショートコメント

ちょうど別の文章を書いたばかりなので、それをベースに当ブログにも外国株個別銘柄の私見を書いておきたい。以前に外国株情報(ICBC、シェル、AirNZ等)をいくつか書いてみたがそこまでネタを深堀りしていないので、あくまでショートコメント扱い。また、決算など定量データに関しては仔細に分析されている有識者がいるので、とりたててここでは触れない。

最初の2銘柄は保有10年くらいになるもの。

(1)Unilever

あれこれ海外旅行してみると、Unileverの高級アイスクリームが先進国ニュージーランドからラオスなど東南アジアのド田舎までしっかり浸透しているのが目に付く。シャンプー・石けん類に関しても同様で、70億人を相手に売っているUnileverやP&Gと日本のメーカーでは規模の利益がケタ違いになってしまう。

かつてNHKで紹介されていたが、同社のBOP(bottom of Pyramid)戦略に沿ったもので、どんなに小口で売ろうとも世界人口70億人全体を広くマーケットとして捉えたもの。これはとても日本企業にはマネできない長期戦略だと驚いて、投資した。何年か前にバフェット氏がクラフト・ハインツにUnileverを買収させようと企てたが、それだけの持続的な企業価値成長があるのだと信じている。個人的には為替の相場観を忘れないようにしたいのでGBP建てで買い付けた。

(2)3M

3Mは連続増配とPost-Itが有名だが、新型コロナ以前からN95マスクを製造しており、お見舞い来院者向けに都内の大手病院のエントランスに自動販売機が設置されている。呼吸器系疾患の治療薬も製造している。どの商品も地味で、かつこのところ業績もパッとしないのでアピールしにくいが、継続的に繰り返し消費されるモノを作っている企業。しかも、15%の時間を創造的に使って変化を厭わない会社であろうとpositiveに見ている。

(3)Medtronic

以下は2021年末にZoomで聞いた情報。

・(オリンパスだったか他の医療機器メーカーで管が付いていないカプセル状の胃カメラの話は10年くらい前からあるものの)、Medtronicでコードレスタイプの心臓ペースメーカーを開発中

<Zoom動画より(2)>

f:id:hassan01:20220812114119j:image
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・心臓にカテーテルを入れて両側から円盤状のバルーンを膨らませる事で、心臓にできた穴を塞ぐ技術を開発しており、そろそろ日本にも導入可能。こっちは同社の説明用動画をチラッと見せてもらった